ティックトックまでSOS…大きくなるマスク氏の影響力
トランプ次期米大統領を積極的に支持したテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と彼の企業に資金と人材が集まっている。米国のIT業界の力学構造がマスク氏を中心に揺れ動く見通しだ。 ウォール・ストリート・ジャーナルは23日、ショート動画プラットフォームのティックトックのCEOである周受資氏がマスク氏とこの数週間連絡を取り合っていると報道した。4月に米国議会を通過した「強制売却法」によりティックトックの親会社であるバイトダンスは来年1月までに米国事業権を売却しなくてはならず、できなければ米国内での利用が禁止される。これに対し周氏が既に懇意にしていたマスク氏と接触し事実上の救命活動をしたという解釈だ。ティックトックは売却猶予など雰囲気反転を期待している。 ジ・インフォメーションの報道によると、グーグルのスンダー・ピチャイCEOのトランプ氏への当選祝賀電話でもマスク氏が割り込んだ。ウォール・ストリート・ジャーナルは「マスク氏と既に縁があったテック業界のCEOはトランプ氏の最側近と非公式に疎通する機会を得ている」とした。 21日にはマスク氏が設立した人工知能(AI)企業xAIが50億ドル(約7685億円)規模の投資を誘致した。カタール政府系ファンド、セコイアキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツなど大口投資家が今回の投資ラウンドに参加した。 世界のIT業界はマスク氏とマスク氏の会社が触発した変化に注目している。AI分野のxAIだけでなく、マスク氏が関与しているドージコインなど暗号資産関連事業、無人ロボタクシー事業活性化に向けた自動運転車規制緩和の可能性などが議論されている。