白い肌を好む外見至上主義…韓国・教育現場に潜む根深い差別・偏見
【07月01日 KOREA WAVE】韓国で多文化・多人種社会の到来が近づいている。だが学校現場や日常生活では依然として潜在的な差別と偏見が残っている。移民社会に進むためには、差別的な固定観念から脱し、意識改善が必要だ。 教育省が発表した「2023教育統計」によると、国内の多文化学生数は計18万1178人。2021年(15万58人)、2022年(16万8645人)に続いて着実に増加している。10年前(6万8000人)と比べると、3倍近く増えた。 ◇「白人には友好的」「中国人は別」…学校内外の「潜在的偏見」 地域社会では多文化生徒たちが韓国に安定的に定着できるようさまざまなプログラムを提供している。京畿道のある学校は多文化特別クラスを作り、韓国語の補充授業、通訳サービスなどを提供した。一部の地域では「世界人の日」を作り、各国の食べ物や文化などを学習している。 問題は潜在的な差別意識だ。特定の国に持つ固定観念や感情などが凝縮され、微妙な差別を生む場合がある。2022年国家人権委員会「人権意識実態調査」によると移住民人権が尊重されるという応答は36.2%で前年比1.3%下落した。「私たちの社会が移住民に差別的態度を持っている」という応答は54.1%であった。 京畿道安山(キョンギド・アンサン)で勤務中の3年目の教師(30)は「中国人の児童が転校してくる時と、カザフスタンやロシア人の児童が転校してくる時の子どもたちの反応は違う。きれいで白い肌を好む外見至上主義のため、どうしても白人に、より友好的だ」と話した。 ある小学5年生の児童は最近、「ニガー」など外国人に対する差別用語を耳にした。児童の学校は全校生徒50人余りのうち半数がベトナム、カンボジア、フィリピン出身だ。児童は「教室で差別用語を口にするのを聞いた。ニガーはインスタグラムで肌の色が黒い友人をからかう時によく使う言葉だ」と話した。 一部の保護者は、授業の質が落ちてしまうという懸念を公然と示している。小学1年生の子どもを持つ50代の保護者は「韓国に住むのにあえて多文化学校に通わせる必要があるのかと思う。韓国語が下手な児童がいれば授業進度も遅く、レベルの差も出るだろう」と話した。 文化の違いをめぐって戸惑うこともある。この保護者は「ベトナムでは幼いころからたばこを吸ってもいいし、カザフスタンは兄弟を学校に連れて行っても、遅刻しても許されされる雰囲気だ。これでは善悪の判断がつかなくなってしまう」と話した。 ◇肌の色が濃い建設現場の人たち?…「固定観念」をなくすには 専門家は幼年時代の多文化の重要性を認識させると同時に、特定の人種・国に偏見を持たないように教育すべきだと訴える。今年、小学校の教科書にも多文化関連の内容が大幅に追加されたが、依然として改善が必要だという指摘も出た。 小学2年生の「世界」教科書には他国の挨拶の部分にインド、日本、米国、フランス、スペイン、イスラエル、中国などが出てくる。「世界の朝」の挨拶の歌の歌詞には、米国、日本、ドイツ、フランスだけが書かれている。小5の1学期の国語国定教科書に載せられた挿絵で、安全帽をかぶった建設現場の人々は皆肌の色が濃い。 教科書をモニタリングした韓国女性政策研究院は「肌または毛髪など、色を中心とした断片的な絵ではなく、言語、表情、体格など多様な特徴から多文化を表現すべきだ」と指摘する。そのうえで「以前に比べれば、さまざまな社会や国の例を挙げているが、依然、西欧中心の思考で、内容の不均衡が解消されていない。世界の多様な文化をバランスよく教科書に反映させるべきだ」と訴えた。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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