富山市中心市街地ににぎわい呼ぶか 街なかスケート場
KNB北日本放送
富山市の中央通りでは、スケート場が入る再開発ビルの建設が進められています。現在の計画になるまで紆余曲折をたどった再開発が街なかの活性化につながるのか、山田記者がお伝えします。 山田記者「南側は中央通り商店街、西側は市電の通りに面するこちらの場所では、スケート場などを備えた複合施設の工事が進められています」 中央通りの再開発は、アイススケート場などが入る建物と24階建て、およそ220戸の高層マンションの2棟が建設される予定です。 再開発がここにたどり着くまでには、計画の変更もありました。 再開発組合 若林啓介理事長「(当初は)物販主体の構想だったんですよ。ファッションタウン構想とか言って」 中央通りは、昭和の時代、県内有数の繁華街として多くの買い物客を集めました。 しかし、大型商業施設の郊外への出店などで、街なかの歩行者通行量は賑わいをみせていたころの10分の1に激減。 再開発を検討する協議会 黒田輝夫会長(当時)「ショッピングセンターと公共の複合施設にしたい」 打ち出されたのが中央通りの再開発構想です。 当初は「街なかショッピングセンター」と銘打ち、服飾店を中心とした大規模商業施設の誘致を計画していました。 しかし、長引く不況やネットショップの利用拡大などで、街なかの小売販売額は年々減少。 富山市の中心商店街の空き店舗率は、25パーセント前後となっています。 そうした中、今までにない施設でにぎわいを作り出そうと考えられたのがアイススケート場でした。 再開発組合 若林啓介理事長「(スケート場は)ピークからかなり減っていて、練習場に困っているチームが結構あるっていうふうに聞いているので」 バブル期には全国に900以上あったスケート場は200あまりまで減少。 一方、フィギュアスケートの競技人口は全国的に右肩上がりとなっています。 新たに整備するスケート場は、「24時間365日」に近い通年の営業で、昼は一般開放、夜は競技の練習用として貸し出す計画です。 日本海側唯一の通年のスケート場がある新潟市をモデルに、年間利用者は13万2千人と想定。 近隣の県からの利用や、大都市圏の大学やクラブの合宿需要などの掘り起こしを狙います。 しかしスケート場の計画が決まってからも、スムーズには進んでいません。 再開発組合は当初、来年秋の開業を目指していましたが、資材価格の高騰やコロナ禍で交渉に時間がかかったことなどが影響し、着工が1年半遅れました。 「16年半のときを経て、ようやく本日の起工式を迎えることができました」 建物の完成予定は2027年の2月末ごろ。 補助金の関係でこれ以上、工期を遅らせることはできません。 現在、急ピッチで建設が進んでいます。 一方、中央通りの再開発地区から電車通りをはさんで向かいにあるのが、4年前に開業した「SOGAWA BASE」です。 西武富山店跡地に作られた再開発ビルの中の商業施設ですが、コロナ禍の影響もあり、想定よりも客足が伸びていません。 また当初は商業施設の誘致を考えていた2階3階は開業以来、入居がありませんでした。 このため方針を転換し、2階は飲食や物販だけではない新たな形でのテナント誘致を検討し3階はオフィスとして活用することが決まっています。 EverT取締役 蛯谷耕太郎さん「子育て世代が時間を楽しく過ごせたり、あるいは、観光客の方がすごく喜ばれるおもてなしみたいなことで言うとまだまだこの街には足りない部分はあるんだと思います。商業の中心的な役割が駅前に集中していく可能性がある。理想なのはどちらも盛り上がっていくことですよね」 北陸新幹線開業を機に、富山駅周辺では開発が活発化。 駅の南側には商業施設のマルートなどが誕生しました。 また北側では、ブールバールのリニューアルやホールの整備などが進みました。 こうした駅周辺と中心街で相乗効果を生み出していけるのか。 山田記者「富山駅とまちなかの商店街。こちらを結ぶのが県庁周辺エリアです。まちなかの回遊性を高める仕掛けづくりの検討が進められています。」 対象となるエリアは、県庁前公園や旧NHK富山放送局の跡地などです。 県は、活性化のプランを募集し、学生や設計事務所などから60あまりのアイデアが集まったということです。 来年度中に基本構想を固める方針です。 再開発組合 若林啓介理事長「エリアマネジメント的なですね、単独の再開発ではなくて、全体としてどういうふうにしていくのか。駅からこの中心商店街までの間をどうつないでいくのか。そういった流れの中で(街なかは)徐々に変わってくると思います。」 街なかにスケート場というのは、これまでになかった再開発ですが、単独の施設でにぎわいを作り出すのは容易ではありません。富山市の中心街全体で連携して魅力を高める仕掛け作りが大切といえそうです。