「とりあえずオルカン」「投資するなら米国株」に富裕層マネー専門家が警鐘「すでにオワコンかも、という観点を」
当時、「ダイヤモンドZAi」をはじめとした多くの投資雑誌では、BRICSに関する記事や特集をよく見かけたものです。BRICSを取り上げる書籍も数多く出版されました。 ただ、時代ごとの流行に乗るだけでは、長期的な成功は保証されません。 日本では「人の行く裏に道あり、花の山」、海外では「リッチマンになりたければ“孤独”に耐えろ」と言いますが、そうしたトレンドに流されない考え方を持つことが重要です。 ● 投資家は市場を冷静に分析し 大衆のトレンドに流されないことが大事 “投資の神様”ウォーレン・バフェットは、リーマンショックの時、ゴールドマン・サックスをはじめ大きく下がった会社の株を買いました。「主要な金融機関は全部つぶれるではないか」と思わせるような、とんでもない悲壮感が漂っていた時期です。 投資家は群集心理で動きがちですが、それでは大きな成功は得られません。成功者は、誰もやらないことを黙々とやってきた人たちなのです。 BRICSやニフティ・フィフティはトレンドではなくなりました。しかし、今後BRICSのように新たな成長市場が現れる可能性は十分にあります。ニフティ・フィフティ銘柄の中にも、IBMやHPのように今も業績堅調な企業があります。 投資家は、市場のトレンドを冷静に分析し、多様な視点を持つことが求められます。その上で、大多数と同じではなく、独自の道を歩む必要があるのです。 オルカンや米国株はもうすでに「オワコン」になっているのかもしれないという観点を持ちつつ、新興市場や異なる資産クラスへの投資を検討することが、長期的なリターンを追求する鍵となるでしょう。
● 「日本株より米国株でしょ」の 空気に違和感 1970年代のニフティ・フィフティや2000年代のBRICSの状況を振り返ると、今の「日本株に投資するくらいなら、米国株でしょ?」という空気感には、違和感を抱かざるを得ません。 最近のロシア・ウクライナ戦争やイスラエルのガザ侵攻、中国の動きなど、多くの国が西側諸国の顔色をうかがわなくなったことは、世界を主導するリーダーが不在となる“Gゼロ化”を象徴する出来事です。今年の大統領選の結果が誰になろうとも、米国一強のパワーバランスが崩れるのは必須でしょう。 にもかかわらず、米国株・オルカン(約6割が米国株)にこだわるのは、世界の長期的なトレンドとは逆を行く投資方針だといえます。現代の投資家は、歴史の教訓を忘れずに、冷静かつ客観的な判断を心がけるべきです。 株式などの相場は、上昇ばかりでもなければ、下落ばかりが続くこともありません。どこかで転機を迎えます。 大衆が一方へ偏りすぎていると感じたら、「人の行く裏に道あり、花の山」を思い出してみてください。
江幡吉昭