日立システムズ、神戸市水道局の減圧弁水圧監視システムを構築
日立システムズは8月26日、神戸市水道局から受託した配水減圧弁の水圧データ提供等業務について、「CYDEEN 水インフラ監視サービス(水圧監視)」を活用し、推進していると発表した。具体的には、減圧弁水圧監視システムの構築、市内60カ所以上の減圧弁付近への水圧監視装置の設置などを通じて、水圧データの提供・運用を行っている。 運用開始から1年超が経過し、神戸市水道局は水圧データの自動収集を実現したほか、遠隔でリアルタイムに水圧異常を監視できるようになったことで、実際に減圧弁の故障を迅速に特定し、即時復旧の対応が可能になった。日立システムズは、5年間の同システムの運用、そして水圧監視装置の電池交換などの保守業務を通じて、神戸市水道局の水の安定供給を支援する。 神戸市水道局は、これまで、減圧弁の維持管理のために、現場に設置した水圧計のデータを定期的に回収する作業を実施してきた。また、減圧弁の障害発生については、市民からの通報などによって把握するケースが大半で、データ収集やトラブルの復旧作業などに時間を要し、効率化が求められていた。 今回、日立システムズが構築した減圧弁水圧監視システムは、減圧弁の2次側(下流側)の記録計室や空気弁室に設置した水圧監視装置から、セルラーLPWAを通じてクラウドに水圧データを収集し、遠隔でリアルタイムに水圧異常を監視することができるシステム。神戸市水道局では、ウェブページを通じてリアルタイムでの水圧確認を可能とするとともに、減圧弁の故障に起因する水圧異常が発生した際には、即時でデータを送信し、市内3拠点の管理事務所で、回転灯による警告動作によって、異常発生にいち早く気づくことが可能なシステムを構築した。 導入にあたっては、神戸市の地形的な特性から設置場所は山間部も多く、電波調査の結果、携帯電話キャリアの電波が微弱である場所も一定数あったため、電波調査を複数回にわたり入念かつ慎重に実施し、通信キャリアや設置場所を選定した。また、設置箇所により正常と判定される水圧の範囲が異なることから、異常水圧を判定するためのしきい値を機器ごとに設定できる仕様としている。 減圧弁は正常に稼働している場合でも、下流側では水圧の上下変動が発生し、一時的にしきい値を超過することがある。このような減圧弁が正常に稼働している範ちゅうでの水圧変動に対して、水圧監視装置とクラウドとの連携により、異常水圧が発生する回数などでアラートを抑止する機能を実装した。 同システムによって、水圧データがリアルタイムで収集できるようになったことで、これまで人手により実施してきた水圧管理業務のデータの現場回収業務を省力化できるようになった。さらに、減圧弁の障害発生時は、同システムが水圧異常を検知し、データ通信により即時に管理者に知らせることができるようになった。これによって、減圧弁の障害発生時の現場駆け付けと復旧作業の早期実施が可能となり、安定給水や下流の給水装置の破損事故防止に貢献している。 なお、CYDEEN 水インフラ監視サービスでは、水圧監視、水位監視、流量監視、水質監視を提供しており、各サービスをクラウド上で一元的に管理することが可能。これにより、水運用の効率化と安定供給の両立を目指す全国の水道事業体の活動を支援する。同サービスでは、機器調達から設置作業、クラウド提供などのほか、顧客の要望に合わせて、問い合わせ対応やインシデント管理、稼働報告、保守対応などのサポートをワンストップで提供する。