ポストSDGs時代における企業のDE&I: KDDIの挑戦
■ポストSDGsの課題とKDDIの挑戦
ポストSDGsとしては、17目標と169ターゲットを超えた検討が求められるであろう。2030年以降、企業が目指すべきは、今回のDE&Iをはじめ、気候変動、社会的不平等、新技術に伴う倫理的課題などへの複合的対応だ。KDDIはカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを進める一方で、社会的公平性の実現や技術の倫理的利用にも取り組んでいるが、すべて企業戦略として位置づけられている。 内海氏は対談で、会社全体でのサステナビリティやDE&Iの学びの実践を紹介しつつ、個々の社員が自らの業務と関連付けていく、社会とどのように関係しているのか常に意識し続け、これらの概念を「自分ごと化」していくことが必要だと強調していた。それによってそこから生まれるその会社や組織「ならでは」のストーリーを組み立てていくことがポイントだと述べた。 筆者は、ポストSDGs時代において、企業は単に社会的責任を果たすだけではなく、未来社会に向けた価値創造を積極的に推進し、持続可能な発展をリードする役割を担うことが求められている。そこでKDDIが推進するDE&Iの取り組みが企業内部の改革だけでなく、社会全体に対して持続的な影響を与えるべきだという考えは大変参考になった。 ポストSDGs時代において、企業の社会的責任は広がりを見せる。SDGsの達成だけではなく、より深い課題への対応が求められる中で、KDDIの取り組みは一つのモデルケースとなるだろう。
■DE&I推進は持続可能な未来の基盤
企業のDE&I推進は持続可能な未来を築くための基盤である。 企業は、社内の多様性を活かしてイノベーションを生み出すだけでなく、外部のステークホルダー―顧客、地域社会、パートナー企業―と連携し、グローバルな問題解決にどう貢献するかが鍵となる。技術革新が進む中で、データプライバシーや倫理的な課題に対して企業が率先して責任を果たす姿勢が必要だ。 企業がポストSDGs時代において、SDGs達成期限後の新たなステージに向けてさらに深い貢献をするためには、社内外の連携を強化し、外部との関係を通じて社会に具体的な価値を提供し続けることが不可欠である。このように、ポストSDGs時代には企業の役割が一層複雑化し、単なる内部施策ではなく、社会全体とどう連携し、共に成長するかが新たなスタンダードとなるだろう。今回の対談を通じて、その未来に向けた具体的なアクションに向けた多くのヒントを得た。