人類が遠い惑星に住むための独創的なアイデア どうすれば人間が居住可能な世界にできるのか
マスクによれば、核爆弾を高高度で爆発させれば、環境中に放出される放射線の量を制限できるというのだ。 他の人々は、大量の核爆弾は使わない、すでに実証済みのテラフォーミング手法――すなわち、私たちが地球で行っている、二酸化炭素を大気中に無制限に放出し、その結果気候変動を起こすという残念な手法――を利用しようと提案している。 たしかに、私たちは自分たちの惑星の無制御テラフォーミング(と言うより「テラアンフォーミング」)を行っている。
■エアロゲルを使うというアイデア 査読付きの天文学のオンラインジャーナル『ネイチャー・アストロノミー』で発表された非常に興味深い案は、宇宙船の温度維持用に使われているものと類似のエアロゲル〔訳注 超臨界乾燥法によりゲルの溶媒を除去した多孔性の物質〕を使って、火星表面の数箇所である程度の高温を維持し、土壌内部に閉じ込められた揮発性物質を解放しようというものだ。 二酸化ケイ素からなるシリカエアロゲルは可視光に対して透明で、太陽光からのエネルギーを通過させるが、赤外線に対しては不透明になるように製造することができる。
そうすると、エアロゲルの下の凍結した土壌に可視光が吸収されて生じた熱が閉じ込められ、土壌が暖まり、内部に凍結されていた気体を蒸発させることができるというのである。 独創的な人々は独創的なアイデアを思いつくものだ。だが、この方法に現実味はあるのだろうか? 理論的にはある。だが実際にうまくいくかどうかは、封じ込められている二酸化炭素の量と、そのうち解放できるのは何%ぐらいかにかかっており、この点に関して、さまざまな文献が挙げているデータには一貫性がない。
別の惑星を地球のように変貌させるには、最初にそこに行くためにミッションを開始するのと同じくらいの努力が必要になるはずだということに注意してほしい。 惑星は非常に大きく、その大気では複雑な物理現象が起こっており、惑星をその現状から望みのゴールである「第2の地球」まで変貌させるのに必要な一連のステップを決めるとなると、それは惑星ごとにまったく違うものになるだろう。 惑星丸々1つを変化させるのはハードルが高すぎるなら、もっと小さい衛星を居住可能にすればいいかもしれない。