S&P500×金は最強コンビ? 大躍進の投信「Tracers S&P500ゴールドプラス」をレビュー
ただし、下落局面には要注意
注意しなければならないのは、レバレッジ型の商品である点だ。 なかには、単に株と金に分散投資した商品と認識している購入者もいるかもしれない。だが、レバレッジ型は上昇局面では大きな利益が得られるが、下落局面では同じだけ大きく損失も膨らんでしまうのだ。それを踏まえると、ゴルプラのメリット・デメリットは次のようになる。 メリット デメリット 高いパフォーマンスを発揮(これまでの実績) 逆相関の関係にある、金および米国株式に分散投資できる 下落局面では損失が膨らんでしまう。 金価格の上昇がどこまで続くか不透明 金と米国株式の動きは逆相関の関係にある。株式市場が冷え込めば、安全資産として金が注目されるためだ。そのため両者に分散投資するゴルプラは、ボラティリティが低いという特徴を持つ。長期投資において低ボラティリティは心理面で安定性をもたらし、メリットの1つとなりうる。 その一方、金価格の上昇がいつまで続くかは不透明だ。いつかは下がるという見方もあるが、今後も上昇し続けるという意見も聞かれる。だが、万が一に金価格が下落すれば、ゴルプラの価格も大きく下落してしまうだろう。
なんなら別々に買うという手も
正直なところ筆者は、たとえゴルプラを購入したとしても、メインにすることはないと思う。あくまでレバレッジを利用して金に投資する商品であり、金の今後に掛ける投機性に疑念を感じるからだ。 そもそも、私は個人的に、自己資金の範囲を超えて投資する、レバレッジ商品には好意的ではない。そこまでせずとも、信託報酬の低いS&P500連動型のインデックスファンドを購入し、株式市場に代わる安定的な資産として金(地金・ETF・投信)を別に購入すれば良いと思うのだ。 ポートフォリオ全体では株式を主な投資対象とし、金は最大でも2割程度で良いだろう。さすがに半分を金にするのは、少々やり過ぎではないかと感じる。すでにさまざまな投信・株で運用し、コアサテライト戦略のサテライトとして、ゴルプラを購入するなら良いかもしれない。 いずれにせよ、ゴルプラの今後は、金価格次第なのだ。 ※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
山口伸