外国人居住者のごみ「収集体験」で垣間見た問題 細かい分別は“日本文化” いかに協力を促すか
外国人居住者の増加で、たびたびトラブルになるのが「ごみ問題」だ。ごみの廃棄方法は自治体によってルールが異なり、分別方法が細かく指定されている。日本人でもわかりづらく、気を使うことも多い中で、外国人に周知をはかり、協力をお願いするのはなかなか大変だ。立教大学コミュニティ福祉学部の藤井誠一郎准教授による連載「ごみ収集の現場から」第26回は、外国人居住者の多い地区で可燃ごみ収集を体験し、知り得た実態と今後に向けての提言を掲載する。 【写真】袋に入れず放置された紙の破片をほうきで集める職員。「可燃ごみ」の収集日だが、空き缶も多く出されている
■正月のごみ収集を体験して どこの地方自治体においても、ごみが1年で一番多くなるのは正月明けだ。 筆者はごみ出しの惨状やそれを収集する過酷な作業を体験し、清掃行政の実態の把握に努めており、今年は愛知県豊田市で1月4日、可燃ごみ収集を体験させて頂いた。 豊田市では、指定日に分別したごみや資源を、各地に設置された「ごみステーション」に出すことになっている。 ごみステーションの管理は、地域住民が運営する任意団体の「自治区」が行っている。また、誰がどのごみステーションを使うかも「自治区」が決定している。
家庭ごみは、「資源」(ペットボトル・ガラスびん・飲料缶・プラスチック製容器包装)、「燃やすごみ」、「金属ごみ」、「埋めるごみ」、「有害ごみ」、「粗大ごみ」、「危険ごみ」に分別するのがルールだ。 今回、体験した中では、これまで見たことがないほど、うず高く積み上げられた「ごみ山」のステーションがあった。 この場所は多くの世帯が利用しており、正月明けはごみ量が増し、あふれかえるようになっている、ということだった。
一方で、排出量は多いが、しっかり分別されたいわゆる「良質なごみ」ばかり。これは、地域内で分別や秩序あるごみ排出が徹底されているからであり、地域運営がしっかりとなされている証左だと言えよう。 ■ルールを無視したごみの数々 次に向かったのは、日系ブラジル人の居住率が高い団地のステーションだった。 このステーションでは、多くのごみに対応するため、清掃車のリフトに引っかけて引き上げ、反転させてごみを収集する「ダストボックス」を置いている。