「推し活」人口1000万人超 無関係と思っている企業に隠れた商機
「推し活」人口は1000万人規模にも上り、日本人の4人に1人は「推しがいる」といわれている。今、まさに盛り上がりを見せるこの市場は、まだ多くのビジネスチャンスが眠っている。「推し活市場」の最新事情を解き明かす本連載。今回は推し活総研の多田夏帆氏に「推し活の今」を聞いた。 【関連画像】多田夏帆 推し活総研所長。推し活関連物販及びメディア運営を手がけるOshicoco代表取締役も務める。雑誌「MERY」のトップライターとして活躍した後、自身の推し活経験を生かしてOshicocoを起業。多田氏はマーケティングソリューションを提供するCDG(大阪・北)と協力し、推し活総研も立ち上げた(写真=鈴木 愛子) ●10代後半の女性は、約2人に1人が推し活をしている 「推し活」とは、アイドルや俳優のほか、アニメや漫画のキャラクターといった「自分の好きなひと・もの・ことを応援する活動」の総称だ。モーニング娘。が爆発的な人気を誇った1990年代のアイドルブームの際に、自分の「推し」という概念が生まれ、2010年ごろのAKB48のブームで世の中に「推しメン(推しているメンバー)」という言葉が浸透していった。 今ではそれが、芸能界だけでなく、さまざまな分野で使われるようになり、多くの人が自分の「推し」を持ち、「推し」を持たない一部の層から「推しハラ」(推しは何ですか、と当然のように聞かれるハラスメント)という言葉が出るほどに一般化している。 推し活総研が15~69歳の日本在住男女を対象にした「2024年 推し活実態アンケート」調査(実施期間:24年1月11日~18日、回答人数:2万2766人)によると、「推し活をしている」という人は14.1%で、日本人口に換算すると推し活総人口は約1100万人に上る計算になる。世代別のデータを見ると、推し活をしている上位は、10代後半の女性が52.7%でトップ。約2人に1人が推し活をしている。全体を通して見た場合は、10代後半~30代女性が高い割合を占める。 多田氏はこの結果に対し、「若い世代で割合が高くなったのは予想通りですが、一方で40代以上の人々や男性の中に一定層『推し活をしている』と自覚している人がいるのには驚きました。まだ『推し活的行動』をしていると気づいていない人もいるとは思いますが、ここまで推し活が浸透しているのだと実感することができました」と述べている。 「推し」でつながる人間関係も活発だ。同調査では、「推しや推し活がきっかけでできた友達がいる」という割合は27%で、約3人に1人が「推し友」がいる。15~19歳の女性に限定すれば、推しつながりで44.3%が友達になっているという。 ●コロナ禍が「推し活」を後押し ここまで推し活が世の中に広がった背景の1つに新型コロナウイルス禍がある。感染拡大が不安視されていた時期は、外出もままならず、知人や友人に会うことも少なくなっていたが、そんな孤独な期間においても、ネットを使って推し活で熱く誰かとつながれた。その喜びは以前より強く、推し活のおかげで孤独じゃなかったという人も少なくない。 このほか、推し活に関するライブ配信などもコロナ禍でより活発になり、推し活文化が醸成されていった。