明日海りお

10月6日からの東京公演を皮切りに大阪、福岡、横浜で上演されるミュージカル『9 to 5』。音楽界の “LIVING LEGEND”ドリー・パートンが手掛けた楽曲を使用した同名映画をもとにした傑作ミュージカル・コメディで、2009 年にブロードウェイで上演されるや大きな話題を集め、トニー賞、グラミー賞にノミネート。2019 年にはロンドンのウエストエンドでもヒットを記録した話題作だ。 【画像】その他の写真 本作で、ヴァイオレット役を演じる明日海りおが、稽古場の雰囲気や共演者とのエピソードを交えながら、作品の魅力や見どころを語ってくれた。 ――宝塚卒業後も、様々なタイプのミュージカル作品に多数出演されていますが、そんな明日海さんが感じる本作の魅力はどんなところですか？ 「物語の舞台は1979年のアメリカ。男性中心の社会で、女性が社会的に活躍することがまだ難しい時代です。そんな中で当たり前のようにパワハラやセクハラをしてくる社長に対して、異を唱えていく女性たちの物語。典型的なハラスメント社長を3人の女性社員がスカッとする方法で懲らしめていくので、明るい気持ちで楽しく見て頂けると思います。また、ドリー・パートンが作詞作曲した楽曲は、どれもキャッチーでノリがいいものばかり。ショーアップされたダンスナンバーや、大勢のコーラスで歌い上げる場面など、ミュージカルならでは見どころがいっぱい詰まっていて、半分ライブに来ているような感覚になるのではないでしょうか」 ――ヴァイオレットは、ロサンゼルスの大企業でキャリアを築くシングルマザー。演じていて共感できる部分や、自分と似ていると感じるところはありますか？ 「ヴァイオレットは会社では仕事をテキパキとこなし、家では女手一つで息子を育てているかっこいい女性。でも思わぬトラブルにあい、あたふたするシーンなどは自分と似ているなと思います（笑）。どんなときも正義感を失わない彼女をいつも助けてくれるのが、グラマラスな秘書ドラリーと新入社員ジュディ。3人の結束力も見どころです」 ――ドラリー役の平野綾さん、ジュディ役の和希そらさんについて教えてください。 「綾さんは普段ふわふわとした雰囲気でかわいらしい感じなのに、歌い出すとものすごくパワフル。そのギャップがドラリー役の魅力を一層引き立てているなと思います。一方、そらちゃん演じるジュディは新入社員で会社では何もわからずメソメソしている役なのですが、本人はいつも落ち着いていて、ダンスも歌も文句をつけようがない。みんな仲が良くて、いつも平和な稽古場です。1幕は3人とも出ずっぱりですが、2幕はそれぞれのソロナンバーも多いので、3人で入れ替わりバトンタッチしながら演じています」 ――ハラスメント社長に扮する別所哲也さんとの共演はいかがですか？ 「すごく嫌な社長役なのですが、ご本人がすごく楽しそうに演じていらっしゃって（笑）。何をやっても私たち3人が笑ってしまうくらいコミカルで愛らしい社長になっているところが、別所さんの懐の大きさだと思います。実際にいたら相当困るキャラクターですが、『最高!!』と思いながら楽しく対決しています(笑)」 ――コメディ作品は久々とのことですが、演じるうえで意識していることはありますか？ 「ドタバタしているだけで何をしているのかわからないという状況だけは避けたいので、まずは作品に込められたテーマやメッセージを大切に。そして役をきちんと掘り下げた上で、セリフのテンポ感や相手へのリアルな反応を心がけています。力みがあるとコメディらしい軽やかさが出ないですし、計算が見えても素直に笑えないと思うので、いつもより明るく楽しい気持ちで取り組んでいます。コメディは難しいというよりエネルギーがいるかな…バランスをとる力が必要だと感じています」 ――『キューティ・ブロンド』『四月は君の嘘』、ミュージカル『この世界の片隅に』など、数々の話題作を手掛ける上田一豪さんが演出を手掛けていますが、上田さんの演出について教えてください。 「（上田）一豪さんの作品は、これまでたくさん拝見していましたが、ご一緒するのは今回が初めてです。稽古場での一豪さんは舞台の前にずっと座り、演技を見ながら指示を出すのではなく、常に動き回って演者に声をかけていくという感じ。姿が見えないと思ったら、どこかで誰かと話をして、何かを創り上げて帰ってくるみたいに、なんだか魔法のような演出をされる方です。誰に対しても接しやすく、細かい助け舟やヒントをいっぱい出してくれるので、演じる側も意見やアイデアを出しやすいです。ほかの演者やアンサンブルの方々とも意見交換をし、冗談を言い合いながら芝居を創っています。演劇では稽古のスケジュールがタイトなことも多いですが、今回はそんな状況さえもみんなで楽しんでいるようなところがあり、『このメンバーなら大丈夫』という安心感のなかで稽古をしています」 ――いろいろ楽しいお話をありがとうございました！最後に読者の方にメッセージをお願いします。 「ミュージカル「9 to 5」は誰もがノリノリになって楽しめるミュージカル。落ち込んでいる時、元気がない時に観ても、気持ちが軽くなり、また少し前に進んでみようと思える作品ですので、ミュージカルが好きな方も、そうでない方も、ぜひ劇場へ足をお運びください。お待ちしております！」 ミュージカル『9 to 5』 ＜東京公演＞ 公演日程：10月21日(月)まで上演中 会場：日本青年館ホール ＜大阪公演＞ 公演日程：10月25日(金)～28日(月) 会場：オリックス劇場 ＜福岡公演＞ 公演日程：11月1日(金)～3日(日） 会場：キャナルシティ劇場 ＜静岡公演＞ 公演日程：11月7日(木)・8日(金） 会場：静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール