再生可能エネルギーの受け入れ保留 電力会社は原発を優先しているのか 科学ジャーナリスト・久我勝利
さて、現在電力会社が再稼働を目指している原発ですが、コストを度外視すれば、原発を稼働させなくても火力発電で電力は十分補えています。 では、もし、原発を稼働させないとして、その代替エネルギーの候補となるのは何か。 筆者が注目しているのは、コンバインドサイクル発電とシェールガスです。コンバインドサイクル発電とはガスタービンと蒸気タービンの二種類のタービンを組み合わせた発電方法です。まず、圧縮空気の中でガスを燃焼させ、ジェット噴射のような勢いでガスタービンをまわし発電します。ガスタービンをまわしたあとの排ガスはまだ十分高温なので、その熱で湯を沸かし、蒸気によって蒸気タービンをまわし発電します。 つまり、同じ量の燃料でも、2度発電できるというわけです。 もう一つのシェールガスとは、非在来型のガスで、これまで技術上採掘がむずかしかった頁岩(シェール)の隙間に存在するガスのことです。シェールガスはアメリカで大量に採掘され、これまで天然ガスの輸入大国であったアメリカが輸出大国になる可能性もあります。シェールガスは在来型の天然ガスより安価であるところが最大の魅力です。 東京電力では平成29年から、千葉県の富津火力発電所をシェールガス専用の発電所とすることを発表しています。 以上のような理由から、今後の電力安定供給の切り札となるのは、コンバインドサイクル発電とシェールガスの2つであると考えます。 --------------- 久我勝利(くが・かつとし) 科学ジャーナリスト。著書に『2時間で学ぶ原発・電力の大問題』(角川oneテーマ21)、『家電・デジタル機器業界大研究』(産学社)など。科学系、業界動向などの分野で執筆活動を展開。