「『常勝』は一生ついてくる」 阿部慎之助監督が語る“伝統への向き合い方”【巨人90周年インタビュー】
選手たちと一緒に考え、悩んで
――そのうえで阿部監督が思い描く「理想のジャイアンツ」とはどういうチームなのでしょうか。 阿部 理想を言えばね、各年代にスターがいてね、1年おきでも2年おきでもスーパースターになりそうな選手が出てくるというのは本当に理想ですよ。だけど、現実はやっぱり厳しいなと思って見ています。 ――監督としてはそうした現実にどう折り合いをつけていくのでしょう。 阿部 みんな潜在能力があってプロの世界に来ているので、それをどう生かしていくか。それを常に考えながら僕らはやっていくしかありません。スターぞろいだったら、「はい、どうぞ」でいいんですけどね。試行錯誤しながら、選手たちと一緒に考えて、一緒に悩んでやるというのが、僕流かもしれないですね。 ――監督になって伝統への向き合い方というのは、自分の中で変わってきたりはしましたか。 阿部 最後に来てしまうのは、やっぱり「勝たないと」と自分で思ってしまうので。「勝ってなんぼだな」と思ってしまう。その前に、その過程でいろいろなことがあるんですけど。やはりそこには先ほども出た「常勝」というのが、一生ついてくるのかなと思いますね。時代が移り変わって、戦力の均衡化が進んでいる中で、もしかしたら「常勝」というのは現実的ではなくなってきているのかもしれない。それでも、90年という歴史の中で、僕らが生まれる前から先人たちがチームを支え、つなげてきてくれたものがある。やはり、それはつなげていかなければならない。その使命感はあります。 写真=BBM
週刊ベースボール