百万貫の岩、起源特定へ 北國新聞社調査団、初の詳細調査
●白峰の巨石群地形、レーザー測定 北國新聞社の手取川環境総合調査団は21日、白山市白峰にある「百万貫(ひゃくまんがん)の岩」の起源とされる手取川上流部の地滑り地点で、最新機器を使った詳細な調査を初めて行った。レーザー光を地面や岩に照射することで地形を立体的に捉えることができ、百万貫の岩の「ルーツの地」を特定する。今後、収集したデータを解析し、11月にも詳細調査を実施する予定で、専門家は「起源の地の特定に向けて一歩前進した」と語った。 百万貫の岩は白山手取川世界ジオパークを構成する代表的なスポットで、1934(昭和9)年の手取川大洪水で白峰に流れ着いたとされる。岩の高さ16メートル、岩周囲の長さ52メートルで、重さは129万貫(4839トン)となる。 百万貫の岩は約2万年前、手取川上流に位置する支流の宮谷川中流域で起きた大規模な地滑りによって形成された巨石群の一つとみられている。 調査団の水・土砂循環グループの柳井清治石川県立大特任教授によると、百万貫の岩から約3キロ離れた標高約850メートルにある巨石群までに他の巨石は見当たらない。このため、急峻(きゅうしゅん)な場所に位置する巨石群以外の地から流れ出たとは考えにくいという。起源の地としては、巨石群がある場所が以前から指摘されてきたが、特定されていなかった。 今回の調査は柳井特任教授と小川弘司県立大客員研究員、建設コンサルタント「地域みらい」(中能登町)の社員3人が行った。社員はレーザー光を照射して物体との距離を測定し立体的に捉えられる機器「ライダースラム」を使って表面の形状などを記録。ドローンも使って上空から巨石の位置データを収集した。 柳井特任教授は、巨石群の地形と百万貫の岩が合致する場所があれば「起源の地」の特定につながるとみており、「今回集めたデータの解析と次回の調査に期待したい」と話した。