大型補強巨人が抱える「なぜ若手が育たない」の矛盾はキャンプで解消可能か
プロの貪欲さが物足りなかったし自立しようとせず“集団に群れる”体質も目についたという。 「一人になれない。結局は、集合体を作ってしまっているんです。集合体の中にいると、意識が緩和されますからね、そこが居心地がいいと思ってしまえば成長はないんです。自立している人間がプロ。なのに自立できている選手が少ない」 鈴木氏は、若手成長のためにプロとしてメンタリティ改革の重要性を説く。 「メンタリティが大事。どういう考えで、どう日々を過ごすか、を考えて欲しい。その気持ちをもっていないと一本立ちができない。一日、一日が勝負なんです。ほんの一瞬も、無駄に過ごして欲しくない。プロとして生き抜くには必要なことですね」。そうすると「少なからず行動が変わってくるんです」という。 例えばと鈴木氏がハッパをかけるのが陽岱鋼の加入でポジションがひとつ減ることになる外野の若手だ。 「陽岱鋼選手が入ってきたが、あの人がいるからチャンスがない、という考え方ではなく、やるべきことをやっていれば、チャンスがくる、そのときにつかみとるんだ、と考えればいい。その準備が重要」 鈴木氏も現役時代にレギュラーを獲得できるチャンスが生まれると、タフィ・ローズやオリックスからトレードで谷佳知、現在、横浜DeNA監督のアレックス・ラミレス、デーモン・ホリンズらの外国人が外野に助っ人としてやってきて激しい競争下に置かれ続けたという経験がある。 「正直、当時は、ニュースを報道で知る度に『またか』とはなった。でも、勝つために球団が決めた補強なんだから、その環境を受けとめて、やるしかないんです。優先順位は、当然、新戦力からになるでしょうが、他人にとらわれちゃいけない、比べちゃいけない。比べるから『この人が入ってきたら無理』というあきらめの気持ちが生まれる。僕は『使うのは監督なんだ。監督に使ってもらえるようになればいい』と、それだけを意識していた。自分がやるべきことだけをやるんだと」