東大名誉教授が教える「物価上昇」続く根本原因 よいインフレ・悪いインフレの決定的な違い
正解です。需要が供給を上回っている状態です。言い換えれば、需要が大きく拡大しているのに、供給する量が追いついていない状態です。基本的には、これでインフレが発生します。 例えば、100円のおにぎりが値上げされて120円になったとすると、600円で購入できるおにぎりの数は6個から5個に減ります。同じ金額で購入できる数量が減るため、お金の価値が下がったといえます。こういった値上げが継続的に続いているときがまさにインフレです。
なお、特定の商品だけが値上がりしている状態はインフレとは言えませんので注意しましょう。世の中に出回っているさまざまな商品の価格がどんどん上がっていく状態がインフレです。 ■インフレは主に4種類に分けられる インフレには4種類あり、よいインフレと悪いインフレに分けることができます。 よいインフレ 1 「ディマンド・プル・インフレ」 悪いインフレ 2 「コスト・プッシュ・インフレ」 3 「スタグフレーション」 4 「ハイパーインフレーション」
このなかで重要な1「ディマンド・プル・インフレ」と2「コスト・プッシュ・インフレ」を説明していきましょう。 ディマインド・プル・インフレの「ディマンド」は日本語で「需要」を意味します。その意味の通り、需要の増加によって引き起こされるインフレを指します。世の中にお金が出回って、人々の財布のヒモが緩んでいて、欲しいモノを買う余裕がある。そのため、需要が供給を上回るほど増えてインフレが起きている状態です。
モノが売れる状況では、企業は供給を増やそうとします。製品やサービスの供給を増やすことで売上を伸ばせるためです。生産の増加は、雇用を増やすことになるので失業率は低下して、経済が活性化する道筋を描けます。 このようなディマンド・プル・インフレはよいインフレと呼ばれます。企業が労働者の賃金を上げるきっかけにもなるからです。物価が上昇しているために、給与を上げて実質的な賃金の価値を増やそうとする流れが起きるのです。企業の収益が増加して、物価以上に賃金が上昇するという理想的な流れが生まれます。