JBC規則抵触も。なぜ井岡一翔は4階級制覇を狙い米国での復帰を決意したのか
井岡は、すでに3月から東京農大の先輩で元WBA世界スーパーフェザー級王者、内山高志氏の専属トレーナーだった佐々木修平氏の協力を得て、都内の恵比寿など「ジムを転々としながら」トレーニングを再開。すでにスパーリングも行っており、現在の体重は56、57キロをキープしている。 今後は、ロスを拠点にトレーニングを行い、9・8米国デビューに向けての準備に入る。ただ、井岡の体格では、スーパーフライでは、明らかに物足りない。おまけに1年5か月ものブランクがある。4階級制覇には、ワンランク上の新しい何かが必要だが、そこはクレバーなボクサーである。アメリカの新しい練習環境や、一流トレーナーとの出会いにインスパイアされて、ひと皮剥け、新しい井岡に進化できる可能性もある。 「(何か月ぶりかに)動いてみて、ボクシングの難しさだったり、奥深さを体で感じている。多少の不安もあるが、新たな道を切り開けると思う。誰にでも、こういうチャンスがあるわけではない。選ばれたものとして結果を残すのが、使命。ボクシングの神様が僕を見捨てなかったと思う。そして、自分の夢、自分のためだけではない。4階級制覇という新たな歴史を作ることを今後のボクシング界や、協力をいただいている方々のために達成したい。言葉ではなく、9月8日の復帰戦で勝利して井岡一翔は、まだ終わっていないことを証明したい」 29歳、井岡一翔のボクサーとしての第2章のスタート。井岡は、その決意の強さと、4階級制覇が、険しい挑戦であることを表すかのように復帰会見中、一度として笑わなかった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)