このテーマに向き合うのに「47年必要だった」 映画監督・三島有紀子が描く【人間の中に巣食う罪の意識】
届いた観客からの“声”
――現在、映画は公開中です。届いた観客からの声で印象的だったものを教えてください。 三島:小さな頃に私と同じような経験をされた、もしくはされかけて怖い思いをしたという方の多くが、カルーセルさん演じるマキの「お前は美しい」の言葉に救われたと言ってくださってうれしかったです。 あとは、そんな経験がなくても、すごく重い映画のはずなのに、心が軽くなって、抱きしめられるような気持ちになったという感想もうれしかったですし、肉体や五感を感じる映画でもあるので、見たあとにすごくご飯を食べたくなったと言ってくださる方もいました。 それから「Interesting」の意味で面白いなと思ったのが、20代の男性の感想です。トト(坂東龍汰)がれいこの話を聞いているのに、何も言ってあげないことにイライラしていたそうなんです。もっと「大丈夫だよ」とか「大したことじゃないよ」「別に汚れてないよ」とかさっさと言ってやれよと思っていたと。でも最後にトトが、彼女が引っこ抜いた花と一緒に、自分がスケッチしたれいこの顔、つまり過去のれいこを一緒に燃やすのを見たとき、自分はすごく上から目線で見ていたと感じたそうです。同じ地平に立って一緒に何か解決していく、時間をかけて寄り添っていくという人との接し方もあるんだと気づいたと言ってくれました。 本当にいろんな方がさまざまな発見をしてくださっている映画です。性別も年齢も関係なく、いろんな人に見てもらいたいですね。
望月ふみ