茂木健一郎「寝る前に入浴は済ませたほうがいい?」相談者からの質問に脳科学視点で回答
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。 6月1日(土)の配信では「就寝前の入浴」に関する質問に答えました。
<リスナーからの相談>
どうしても疲れてしまった夜、睡眠とお風呂またはシャワーどちらか一方を選択するとしたら、茂木さんはどちらでしょうか。いつも疲れて帰ると迷います。どうぞよろしくお願いいたします。
<茂木の回答>
茂木:とてもいいご質問だと思います。というのも、世の中では睡眠に入るときに一番いいとされていることってありますよね。たとえば、シャワーを浴びて体を綺麗にしてから寝るほうが気持ちいいとか。お風呂に入ると体温が上がりますが、その後、体温が下がるときに実は深く眠れるというデータもあって、そういうことを推奨されている方もいらっしゃるんですよね。 脳の仕組みから言うと、やはり睡眠はとても大事です。寝ているあいだに記憶が整理されますし、細胞のなかに溜まった老廃物なんかも除去されたりするので、認知症予防にもなります。 一方で、寝る前にお風呂に入ったほうがいいとか、シャワーを浴びたほうがいいというのは、一般論としてはいいのですが、個人の個性とか生活スタイルによっては、必ずしもベストでない場合もあります。 実は、私は基本的に温泉でも行かない限り夜にお風呂は入らないですし、シャワーも浴びません。朝にランニングする習慣があるので、夜はそのまま寝て、翌朝ランニング後にシャワーを浴びるというのが長年の習慣です。 自分の眠りの入り方もちゃんと確立していまして、たとえば寝る前にスマホを見るとよくないとか言われますが、僕は意外と見るのですよ(笑)。スマホで落語を聞いて寝落ちするのも長年の習慣でして、長年いろいろトライして編み出した、眠るときのやり方があります。ですので、リスナーさんも自分なりのやり方をやられてみてはいかがでしょうか。 交換神経、副交換神経の話は聞いたことがあると思いますが、交換神経は戦闘状態というか、「仕事をするぞ」「人とコミュニケーションするぞ」というときの神経です。 副交換神経はリラックスして、ゆったりした気持ちで眠ろうかなという神経ですね。副交換神経の働きは大事なのですが、リスナーさんが慣れ親しんでいるやり方といいますか、自分なりの方法を編み出すことが大事かなと思います。 一般的に言われていることは参考にはなりますが、だからといってその通りにしないといけないと考えると、かえってストレスが溜まります。何々をすべきということはないので、あくまでも参考に留めてください。 (TOKYO FM「茂木健一郎のポジティブ脳教室」2024年6月1日(土)配信より)