投票所が1か所減ると、投票率はどうなるか…「職員や立会人確保難しい」前回から半減する自治体も
27日に投・開票日を迎える衆院選。ただ、その日に投票できる「当日投票所」の数が減り続けている。今回も前回(2021年)の衆院選に比べ、1026か所が減る見込みだ。人口減による過疎化や地域の統廃合などが原因で、各選挙管理委員会は「激変緩和措置」に知恵を絞る。しかし、当日投票所の減少は投票率低下の大きな要因と指摘するデータもある。果たして今回の投票率はどうなるだろうか。(デジタル編集部 石原宗明) 【グラフ】予想される各党の獲得議席…読売世論調査
投票所数が半分に、タクシー利用に補助
岩手県奥州市の選挙管理委員会の担当者は、「前回の投票率63・49%をできるだけ維持するのが目標」と話した。前回は83か所あった当日投票所が、42か所にほぼ半減したからだ。
同市は、2006年に水沢市など5市町村が合併して誕生。投票区の見直しも検討したが、総務省が「遠距離地区(投票所から選挙人の住所まで3キロ以上)の解消に努める」などの運営の目安を示していることもあり、投票所は統廃合せずに維持してきた。
しかし、投票所を運営する職員や投票立会人の確保が難しくなった上、投票区ごとの選挙人名簿登録者が最少区で57人、最大区は3676人と差が開くなどしたため、効率的な運営を目指して、21年に当時84か所あった投票所を半減することを決めた。
再編後に初めて行われた22年の市長選では、廃止された42か所の投票所のうち、21か所を期日前投票所に。タクシーで投票に行く人に最大600円(往復)の補助も行う「激変緩和措置」も取った。それでも、投票率は前回市長選を7・6ポイント下回る56・65%だった。
今回の衆院選でも緩和措置を行うが、担当者は「再編によって、投票しづらくなったと思っている市民はいるはず。利便性を高める方法を考えていきたい」と話している。
「共通投票所」で投票率が上がった例も
総務省によると、衆院選の当日投票所は、2000年の5万3434か所をピークに減少し続け、21年の前回選には4万6455か所に。今回選では4万5429か所になる見通しで、そのうち1万7813か所が閉鎖時刻の繰り上げなども行う。