【何観る週末シネマ】20世紀FOXのマーベル映画たちも大切な”仲間”『デッドプール&ウルヴァリン』
この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『デッドプール&ウルヴァリン』。気になった方はぜひ劇場へ。 【写真】『デッドプール&ウルヴァリン』場面写真 〇ストーリー “普通のヒーロー”に飽きてない?戦う動機は超個人的、破天荒でなんでもアリの“クソ無責任ヒーロー”デッドプールに世界の命運は託された!?ヒーローになんて興味はないけど、大切なファミリーの大ピンチなら頑張っちゃう!予測不可能なミッションのカギを握るのは…よりにもよって”あの爪野郎。“クソ真面目で”キレるとヤバい最恐アウトロー”ウルヴァリンに助けを求めるが…。全く異なる個性のR指定ヒーロー2人が暴れまわる! 〇おすすめポイント マーベルコミックスのなかでも幅広い層に人気のデッドプール。 日本におけるアメコミのステレオタイプを突き崩したキャラクターのひとり。女性ファンを多く取り込んだことによって、アメコミはオタクだけが観るものというイメージを変えた立役者だ。 そんな「デッドプール」シリーズといえば、もともと20世紀FOXによるシリーズで継続予定だったものだが、ディズニーの買収によって白紙になってしまったシリーズのひとつでもある。 そして、それと同時に白紙になった「X-MEN」シリーズのウルヴァリンを引き連れてMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に殴り込みをかけたのが『デッドプール&ウルヴァリン』である。 MCUとX-MENの合流は、FOXを買収する前から何度か議論されてきたが、まさかこういったかたちで実現するとは……。 ネタバレ厳禁というとこもあり、直接的なキャラクター名が出せないのはもどかしいが、とにかくメタ的なネタのオンパレード。 一種のネタ映画にも思えるのだが、実はこの作品が一貫して伝えたいことは、今のMCUが成り立っている影には、消えてしまったものもたくさんあるということ。 それらを歴史上から抹消するのではなく、大切な歴史のひとつとして残してもらいたいというメッセージ。多くのスタッフが関わり、大切に作られた映画一本一本、キャラクターひとりひとりを忘れないでほしいということだ。 そしてそんなことができるのはデッドプールしかないというのも納得であるし、デッドプールがその役を担うことで、MCUとFOXに絶妙な距離感を作り出し、今後もデッドプールを通してイベント的に登場させることができる可能性も提示しているのだ。 今回登場していないキャラクター、例えばFOX版「X-MEN」の何人キャラクターについてだが、ディズニーは何人かのキャストをMCUに移行するという噂もある。実際にマルチバースとはいえ、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)に登場したプロフェッサーXや『マーベルズ』(2023)に登場したビーストのように、すでに登場しているキャラクターもいる。ということは、逆に今回登場していないキャラクターは、今後MCUの本筋に登場する可能性があったりもする。 ただ、マルチバースの使い過ぎで、すでに混乱状態のMCUに、さらにデッドプールという劇薬を投入したのだから、マルチバースの扱い方がより複雑化してしまったのも事実だ……。 (C) 2024 20th Century Studios / © and ™ 2024 MARVEL. 〇作品情報 【スタッフ・キャスト】 監督:ショーン・レヴィ 出演:ライアン・レイノルズ、 ヒュー・ジャックマンほか 『デッドプール&ウルヴァリン』2024年7月24日(水)最速公開 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
南 喜一