【激動の中東】ハマスとは桁違いの兵力!?最近よく聞く『ヒズボラ』...イスラエルやイランとの関係は 中東緊迫で日本にも影響のおそれ【詳しく解説】
そして次の大きな出来事が、9月27日にヒズボラの指導者ナスララ師が死亡したことです。ナスララ氏はアラブ、イスラム世界においてカリスマ的な存在と言われていて、中東地域で最も影響力がある指導者の1人とされています。そのため、これはヒズボラやレバノンだけではなく、ヒズボラを支援するイランにも大きな損失。つまりイランやイスラエルの対立構造は激化するのです。 さらに10月1日、イスラエルがレバノンに地上侵攻をしました。イスラエル側は「イスラエル北部で避難を余儀なくされている国民を助けるため」としていますが、イラン側からすると、ヒズボラへの攻撃が続くことであり、指導者の殺害もあって、ついにイランは同日、イスラエルに弾道ミサイル180発以上の攻撃を行ったのです。イスラエル軍は大半を撃ち落としたとしていますが、イスラエルの中部・南部で着弾が確認されています。 これを受けて、再びイスラエル軍がレバノン中心部への攻撃を激化している…というのが、この1年間の大まかな流れです。
「ヒズボラはハマスとは訳が違う」イランは堪忍袋の緒が切れた?
パレスチナやイスラエルなどを取材してきた前JNN中東支局長・須賀川拓記者は「今回起きていることは非常にインパクトが大きい」と話します。 須賀川記者によりますと、イスラエルからヒズボラへの攻撃は、ハマスへの攻撃とは訳が違うということです。ハマスよりヒズボラの方が圧倒的に兵力が大きい上に、ハマスの拠点ガザ地区はイスラエルにとって“庭”のような場所ですが、ヒズボラへの攻撃となると攻撃方法や作戦も大きく変わってくるからです。 さらに、イランが出てきました。イランからイスラエルへの攻撃は4月にもありましたが、この時はドローンや巡航ミサイルなど比較的対応しやすい攻撃だったと言われています。しかし今回は威力もスピードも桁違いの弾道ミサイルを180発以上撃っていて、イランの“本気度”がうかがえるということです。 中東を舞台に、世界の構図はどうなっているのか。現在はイスラエルの後ろにアメリカがいます。大統領選挙でトランプ氏が返り咲いた場合、トランプ氏は現時点では「イスラエルを全面支援する」と話しています。そしてイランはロシアや北朝鮮と一つのグループを築いています。 その上で、須賀川記者は「ロシアや北朝鮮といった日本の周辺国が何らかの形で加担する可能性も出てくる。そうなると安全保障を考える上では『遠い戦争』ではない」と話します。