谷口信輝がCOTY候補10台を一気乗り! そのお眼鏡に適ったのはいったいどのクルマ!?【2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー】
おなじみのレーシングドライバー、谷口信輝さんはモータージャーナリストの一面もあり、日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)の選考委員も務めている。そんな谷口さんが、11月26日に行なわれた10ベストカー試乗・取材会に参加。2024-2025 COTYの候補車10台を一気乗りしたので、その感想を聞いてみた。キーワードは「人馬一体」だ。 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーの受賞車は12月5日に決定! 今年を代表する1台は果たして!? 冬の風物詩と言えば、お鍋と雪見だいふく、そしてCOTYだ。COTYとは、日本カー・オブ・ザ・イヤーのこと。前年の11月1日から当年の10月31日までに日本国内に発表された乗用車を対象にして、選考委員の投票によってその年を代表する1台を選ぶ、というものだ。今年(2024-2025)は11月6日に10台の候補車が発表されたが、12月5日には最終選考会が行なわれ、そこで受賞車が決定される。 今年の10ベストカーは、以下のとおりだ。(順番はノミネート順) ・スズキ・フロンクス ・トヨタ・ランドクルーザー250 ・ホンダ・フリード ・マツダCX-80 ・三菱トライトン ・レクサスLBX ・BYDシール ・ヒョンデ・アイオニック5 N ・MINIクーパー ・ボルボEX30 11月27日には、10ベストカー試乗・取材会が袖ケ浦フォレストレースウェイで開催された。最終選考会に先立って、選考委員が候補の10台を試乗して最終チェックしたり、開発者らと意見交換を行なったりすることで、自身の投票の参考にするための機会だ。 ちなみに、選考委員は雑誌やウェブなどのメディアで構成される実行委員会からの推薦・投票によって選ばれている。そして、本サイト(モーターファン.jp)から推薦されている選考委員のうちのひとりが、谷口信輝さんだ。 谷口さんと言えば、スーパーGT・GT300クラスで3度の王座に就くなど、輝かしい戦歴を誇る現役レーシングドライバー。その一方で、28歳の頃に広島から上京した際の夢はモータージャーナリストだったということもあり、最新の乗用車への興味も旺盛だ。そんな谷口さんに、今回は10ベストカーを試乗しての感想を語ってもらった。 …とその前に。レースならばタイムが速いクルマが一番エラいが、果たして谷口さんは、どのような観点でニューモデルを評価したのだろう? ここに集まった10台はカテゴリーも価格も千差万別だし、谷口さんが好きそうなスポーツカーも今年はいないけれど...。 「谷口=スポーツカーが好き、っていうイメージがあると思うけど、そんなことはないよ。運動性能が高くないといけない、とも思っていない。どんなクルマでも一番重視しているのは、”人馬一体”。理想は自分の身体を動かすかのように、クルマが動いてくれること。それが一番楽しいし、ストレスがないし、安全な運転にもつながるんだ。自分にとっては、それが一番大切にしているポイントだね」 なるほど…単純明快だけど、クルマ好きにとっては大いに賛同できる評価基準ではないだろうか。というわけで、「クルマは人馬一体が一番」という谷口さんの評価基準を頭に入れておきながら、試乗を終えての感想を聞いてみよう。 スズキ・フロンクス 「これは、まったく尖っていないクルマ。いい意味で、尖る気がゼロ。1.5LのNAエンジンということで、パワーに余裕があるっていう感じはないけど、まったく気を遣って乗る必要がないから、買い物や通勤といった使い方にはいいだろうね。クルマにそれほど興味がない人が買っても、装備は満載だし、その割に価格も安いから、不満はまったく出ないんじゃないかな」 トヨタ・ランドクルーザー250 「乗った感じの雰囲気がいいね! 足(サスペンション)が柔らかくてめちゃくちゃロールはするけど、そのロールも嫌な感じじゃないし、フワンフワン感がむしろ楽しいね。コーナーでちょっと無理をしても変な挙動が出ることもないし、バンプ/リバンプのバランスもいい。ディーゼルエンジンもよく走る。機会があれば、ランクルらしさが発揮できるなオフロードコースも走ってみたいね」 ホンダ・フリード 「このクルマも、いい意味で特徴がないのが特徴。パワーもファミリーで使うような場面には必要十分な程度なんだけど、ハイブリッド車はモーターのおかげで、アクセルペダルを踏んで欲しいぶんのパワーがすぐ出てくれるのがいいね。2列シートのクロスターは荷室も広いし、結構使い勝手が良さそう。強いてネガを言うなら、ハイブリッドでも全開加速をしたらエンジンがうなりを上げるところくらいかな」 マツダCX-80 「サイズが大きいし、重量もそれなりにあるんだけど、エンジンとモーターの特性がマッチしているから重量級ボディって感じがしない(試乗車はディーゼル+マイルドハイブリッド)。スゥ~っと加速していくね。ハンドリングも良い。ロールして一発目の入力を支えた後に切り増しして沈んでいくところも、硬くなく腰のある感じで支えてくれるんだ。CX-60と比べると、すごく良くなっている」 三菱トライトン 「デカい!(笑) 大きいクルマに乗っているっていう爽快感があるね。でも、その巨体のイメージから想像するよりも、フットワークは軽快。2.4Lディーゼルは2ステージターボということもあって、下からのトルクも結構ある。サスペンションはストロークがたっぷりだし、タイヤのハイトもぶ厚いから、ゼブラを乗り越えようがお構いなし。そういう意味では、”ガサツ”に乗るとカッコいい1台なんじゃないかな」 レクサスLBX 「『MORIZO RR』は、きちんと乗れる人だったらめちゃくちゃ楽しめると思う。四駆の制御が良いから、ノーズはよく入っていくし、リヤもちょうどよくスライドしてくれるから、振り回して遊ぶのがすごくしやすい。メカニズム的には、GRヤリスよりと共通する部分が多いんだけど、LBXの方がロードインフォメーションなどは上質になっているし、3気筒のエンジンの振動も上手く抑えられているね」 BYDシール 「室内は広いし、天井のガラスルーフもいい雰囲気。走ってみるとパワーもあって、自分はもっとハイパワーのEVにも慣れているけど、普通の人は”速い!”と思える加速をしてくれる。気になったのは、足とタイヤ。で、コーナリングでの制御もちょっと大雑把に感じられたのが残念だね。タイヤを変えたら、クルマが1ランクも2ランクもアップすると思うんだけどな」 ヒョンデ・アイオニック5 N 「ものすごく楽しい! アクセルを踏んだら誰もが驚くほどのパワーなんだけど、四駆だから安定感抜群でドドンパのような加速をしていく。それ以上に素晴らしいのは、旋回性能。良く曲がるし、コーナー出口でアクセルを踏んでいくと、トルクベクタリングの効果でどんどん曲がって前に進んで行く。擬似エンジンサウンドや擬似シフトショック、ブーストアップ機能といったギミックも遊び心があって、僕はとっても好きなクルマだね」 MINIクーパー 「今回はエンジン車と電気自動車の両方が出たんだけど、キャラ的にはモーターの方が似合っていたかな。パワーはありすぎずなさすぎずのちょうどいい塩梅。前輪駆動だけど制御も良いから、ハンドルを切っているコーナリング中にアクセルを踏んで行っても前に引っ張っていってくれる。色々なサウンドがスピーカーから出てくるギミックも楽しいね。個人的にはもうちょっと刺激が欲しいけど、それは今後出てくるジョンクーパーワークスに期待かな」 ボルボEX30 「このクルマのことをあまり知らなくて、真っ白な気持ちで乗り込んだけど、結構パワーがあって、僕の予想をいい意味で裏切ってくれた。コンパクトなボディだけど、モーターとバッテリーには余裕がある印象。それだけじゃなくて、足と制御もいい。リヤ駆動なんだけど、コーナー進入から立ち上がりまでの制御が抜群に良くて、危ない挙動が出ないだけでなく、よく曲がってくれる。こういったところも僕の期待以上だったね」 ふぅ。駆け足で谷口さんのコメントを10台分ご紹介したが、いかがだっただろうか。最後に、谷口さんに今回の10ベストカー試乗・取材会の感想を聞いてみた。 「今年も無味無臭(編注:悪口ではありません)なクルマから個性が強めなクルマまで、多彩な10台がノミネートされていたけど、どれも先進技術が投入されていて、誰が乗っても乗りやすい、とても完成度が高いっていうのは共通していたね。だから、どのクルマがCOTYを受賞しても不思議ではないと思う。僕の中ではもう決まっているけどね!(笑)」 ちなみに最終選考では、各選考委員は16点の持ち点があり、1位に10点、2位に4点、3位に2点を配分することとなる。果たして、谷口さんはどのクルマに10点を入れるのか!? そして、栄えあるCOTYを受賞するのはどのクルマとなるのか!? 注目の最終選考会は12月5日15時からスタート。その模様は、日本カー・オブ・ザ・イヤー公式YouTubeチャンネルで配信される予定なので、お見逃しなく! 2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー最終選考会・表彰式 ・日時:12月5日(木)15時~ ・開催場所:ボッシュ株式会社 本社 (一般の方は最終選考会にはご参加いただけませんが、会場エントランスエリアにて10ベストカーの実車展示はご覧いただけます)
MotorFan編集部