東京コレクションの現在
東コレこと、楽天ファッション・ウィーク東京が、3月11日(月)から3月16日(土)に開催された。メンズの注目ブランドを中心に、ランウェイやプレゼンテーションの模様をレポートする。 ギャラリー:東京コレクションの現在
24年秋冬の楽天ファッション・ウィーク東京は、例年と比べて参加ブランド数は43ブランドと少なかったものの、近年で一番の盛り上がりを見せた。オープニングイベントでは、エムエーエスユーが初めてパリで発表したコレクションを引っ提げ凱旋。初参加のコウタグシケンは、コント調のプレゼンテーションという過去に類を見ない形式で発表した。そして、アンリアレイジ オムは、デザイナー・森永邦彦の原風景である2000年頃の原宿に思いを馳せた初のメンズのランウェイで、今期のフィナーレを彩った。代々木第一体育館に約3000人を招いたミキオサカベを筆頭に、一般客を招待するブランドも多く、次世代のファッション・ファンダムの熱量も多分に感じられた。公式スケジュール外では、東京タワーをバックに豪雨の中で披露したシンヤコヅカ、宮沢賢治に着想を得たピリングス、そして母校の立教大学を舞台にしたケイスケヨシダら実力派がショーを行い強い存在感を示した。クワイエットラグジュアリーとY2Kが共存し、その他にもミクロなトレンドが無数に存在する昨今、さらには世界情勢が目まぐるしく変化する中で、東京のデザイナーはごく個人的なインスピレーションを起点にしコレクションを創り上げている印象だ。“東京らしさ”は一枚岩ではないけれど、この街だからこそ際立つ美意識をもつ東京ブランドに注目したい。 anrealage homme テクノロジーを前面に押し出すウィメンズと異なり、大量のボタンを縫い付けたセットアップをはじめとする手仕事で作られたアイテムが目立つ。デザイナーの盟友、スタイリストのTEPPEIも参画し、2000年代の原宿ファッションに着目。リーボックとのコラボも登場。 KOTA GUSHIKEN 芸人の又吉直樹と好井まさおがステージ上で、笑いを交えつつ新作を試着していく。意表をつかれたが、しばらく経った今でも13型すべてがありありと脳裏に浮かぶ。バンド・酩酊麻痺のパフォーマンスにもシビれた。 M A S U マネキンが着席する会場でパリコレの動画を放映したインスタレーション形式での発表。ごく自然にスカートやフリルを取り入れたルックに、らしさが光る。ユースから愛されるエムエーエスユーは、メンズウェアを再定義し、その領域を押し拡げている。 WORDS BY REONA KONDO PHOTOGRAPHS BY KOJI HIRANO (ANREALAGE HOMME)