相次ぐ長島議員離党と細野議員辞任 野党共闘で民進党はどう変わるのか
細野議員は「計算が狂った」
では「反自民という点では一致していてもほかのことは違う」、「よく言えばいろんな考え方があり、悪く言えばばらばら」(中野教授)という民進党。細野議員の代表代行辞任はどのような背景があったとみるのでしょう。 「彼は、小沢一郎氏に近かったが、民進党が下野してからは、かなりの勢いで保守の側に移っていっている。彼自身のキャリアの戦略というのもあるし、反執行部的な立ち位置のところがあった」。ポイントに挙げるのは、現在の蓮舫代表が選ばれた民進党代表選です。中野教授は、すでに岡田克也前代表のときには、野党共闘にシフトしていた中、代表選の候補者はそろって「野党共闘には消極的で、民進党は頑張れば単独で政権取れる、というアピールが多かった」と説明します。 そして、細野議員はそこで蓮舫代表という「勝ち馬に乗ったところがあった」と指摘。ところが、その後も「蓮舫旋風が起きたわけでもなく、むしろ二重国籍が問題になった」。本来は保守である野田佳彦幹事長も現実路線である野党共闘に進む中、「計算が狂ったのが細野議員」、「このままでは自分が埋没するという焦りがあったのだと思うが、野党共闘への反対の声を上げるなど残念ながら孤立していった」と言います。 その上で、細野議員も「長島議員と同じ」、「野党共闘が大きな路線として踏み込み始めていることに、どうしてもついてこられなかった人が若干いるということ」と言及。「蓮舫執行部への大きな衝撃や野党共闘への横やりには必ずしもならない」、「現段階ではこれ以上に広がるかはわからない」と、長島議員に続く離党の動きが広まることや、党の求心力低下という指摘には、懐疑的な考えを示しました。
共産党にとっても野党共闘は簡単ではない
また、共産党については「野党共闘に積極的になっていて、むしろ民進党に仕掛けているところがある」とみます。こうした共産党側にも変化が起きた背景のひとつとして、「(共産党に限らず自民党や公明党などの)昔からの支持層は高齢化で縮小していく」という事情もあると考えます。加えて、小選挙区制導入による痛手もあり、若年層、女性など候補者の擁立で工夫がみられるなど「従来の強い党支持層でなくても、共産党を選んでもらえるよう試行錯誤をしていると思う」と話します。 ただ、民進党の長島・細野両議員の動きと同様に、こうした一連の変化についていけない支持層が出てくることが予想されるとし、共産党にとっても野党共闘は「そんなに簡単なことをやっているわけではない」。「(次の衆院選のときも)、参院選のときのように多くの選挙区では、民進党の候補者のために、共産党の候補者を下げるということになるだろう。日本がこのままでは壊れてしまうという危機感を持ってやっているのでは」と、分析します。 中野教授は「有権者の選択肢をつくるべきなので、野党共闘すべき」と考えていますが、ただ、「どこまで、どのタイミングまで続くかは難しい」と述べています。次の衆院選で、野党で3分の1以上確保し、「自民党が議席を減らし、緊張感ある国会運営」となれば、そのとき「野党はどうする、となるだろう」。「民進党は単独でいけると思うのか、話し合ってさらに共闘関係を深めていけるのか、次の段階で問われることになる」という見方を示しています。