「まるで違うカテゴリーだ!」ストロール怒りの無線は、タイヤの違いが原因? 角田裕毅抜けず不満爆発
アストンマーティンのランス・ストロールは、F1日本GPを12位で終えノーポイント。レース中には「まるで違うカテゴリーだ!」とトップスピードについて無線で不満をぶちまけるシーンがあった。 【リザルト】F1第4戦日本GP:決勝結果 予選16番手と出遅れたストロールは、レースを通じてポジションを上げていった。しかしレース終盤、RBの角田裕毅と戦っている中で角田にストレートで引き離された。 「僕たちのストレートスピードの酷さは信じられないよ。まるで違うカテゴリーだ!」 無線でそう叫んだストロールの言葉は、今ストロールのチームメイトであるフェルナンド・アロンソが2015年の日本GPでホンダのパワーユニットについて放った「GP2エンジン!」という有名な無線を思い出させるものだった。 しかし、ストロールの暴言は、昨年から空力効率の改善に取り組んできたアストンマーティンのストレート性能の不足を指摘したものではなかったのだという。 チーム代表のマイク・クラックはレース後、ストロールの苦情をめぐる状況を調査した結果、空気抵抗が多すぎたり、エンジンパワーが足りなかったりしてトップスピードが出なかったわけではなかったと明かした。 それは、周りのライバルたちがより良い状態のタイヤを履いているためにコーナーからのトラクションが向上し、より早く加速してトップスピードに達することができたために起こった錯覚だという。 「これは私が実際に見てきたことだ」 motorsport.comの取材に対し、クラックはそう答えた。 「グリッドを見渡して分かるのは、ストレート性能の差は非常に小さいということだ」 「しかしレースの時間帯が違えば、タイヤのコンディションも違うし、コーナーからの加速も違うんだ」 「あのようなコメントの多くは、そのような状況から来ていると思う」 「パワーに関するデータを見ていると、どのマシンも非常によく似ている。しかし、レース中の様々なタイミングでのタイヤコンディションは、10周から12周、15周くらいのオフセットがあり、そうなると加速が全く違うんだ」 実際日本GP決勝のスピードトラップのデータを見てみると、ストロールと角田の差はごくわずかだった。 130Rに下るセクター2のスピードトラップでは、角田のトップスピードが時速304.8kmだったのに対し、ストロールは時速303.4kmとなっていた。 ただストロールが角田の後ろにつき、本格的にバトルを繰り広げたのは23周目に角田とストロール含め5台が同時ピットインし、RBが会心のピット作業で角田を実質10位を争う集団のトップに送り出した後。角田とストロールのタイヤにはオフセット(装着タイミングのズレ)はなかった。 このピットストップでストロールも角田も、新品のハードタイヤを履いた。角田はうまくタイヤをマネジメント。そのままフィニッシュまで30周タイヤを保たせ、終盤には自己ベストラップを記録し10位入賞を果たした。 一方、ストロールは角田を抜けずタイヤをいじめてしまったということなのかもしれない。角田を抜けなかったこともありハードタイヤを12周で諦めピットイン。ソフトタイヤに履き替えたが、最後はほぼ同じタイミングでハードタイヤを履いたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に抜かれ12位でレースを終えた。 そこには、今回のレースのタイヤ戦略の難しさと、ドライバーのタイヤマネジメント力の差が如実に現れているのかもしれない。
Jonathan Noble
【関連記事】
- ■「ユウキを倒せるだけの力はあった……」ヒュルケンベルグ、スタート大失敗から挽回も角田裕毅の後ろ11位で入賞に一歩届かず
- ■「フェルスタッペンはタイヤが4つ付いていれば勝てる」レッドブル重鎮マルコ、日本GP圧勝劇に最大級の賛辞
- ■ホンダF1参戦60周年。記念すべき年の日本GPで”HRC製PU”1-2&角田入賞! 渡辺社長「上出来。参戦全カテゴリーで勝ちに拘る……二輪も四輪も!」
- ■レッドブルF1のホーナー代表、角田裕毅を賞賛。一方リカルド立ち直りを期待「チームメイトが素晴らしい成績……プレッシャーは当然だ」|F1日本GP
- ■ウイリアムズ、またもシャシー破損。中国GPは2台ともが”リペアシャシー”、スペアなしで戦うことに