寝る前にストレッチをした方がよい理由とおすすめのストレッチ5選【前田のまいにちセルフケア連載】
ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル「前田のまいにちセルフケア by GronG」(登録者は27万人以上※2025年11月時点)を運営する前田修平(NASM-PES、はり師・きゅう師)さんが科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝える本連載。第5回は「寝る前にストレッチをした方がよい理由とおすすめのストレッチ5選」。 【動画】自律神経を整えたい方にオススメ|寝る前ストレッチでリラックス【7分間】
はじめに
「睡眠負債」という言葉を聞いたことはあるだろうか。睡眠負債とは「本来必要とされる睡眠時間の不足が累積した状態」のこと。大多数の成人では、脳と身体を健常に働かせるためには7時間前後の睡眠を必要とする。7時間の睡眠を必要とする人が、6時間未満の睡眠を続けていれば小さな負債が蓄積することになる。 これは現代人の課題の一つで、特に日本人に多いと言われている。日本は先進国の中でも平均睡眠時間が短い国なのだが、これには文化的背景や働き方も影響しているのだろう。多くの人が慢性的な睡眠不足に悩んでいる。 良質な睡眠のためにできることは複数あるが、寝る前の時間をリラックスした状態で過ごすことは、心身の健康にとって重要なことのひとつ。特にストレッチは身体の緊張を解き、リラックス効果を高めるため、睡眠の質を向上させるための効果的な方法であると言える。 今回は寝る前にストレッチをした方がよい理由とおすすめのルーティンをご紹介する。
寝る前にストレッチをした方がよい理由
休息モードのスイッチを入れる 日中のストレスや身体の緊張が残ったままだと、寝つきが悪くなることがある。ストレッチは筋肉の緊張を和らげ、副交感神経を活性化させ、心身をリラックスさせる効果が期待できる。特に入浴後に少し体温が上がった状態でおこなうのがオススメだ。ストレッチをすると手足の血管が拡張され、熱を放散する。その後に体温(深部体温)が下がるタイミングで脳や内臓の温度、心拍数などが下がり、身体が休息モードに入る。 このメカニズムが眠気を誘うのだ。深い呼吸を意識しながら行うことで、さらにリラクゼーション効果を高めよう。 血行を促進する 「滞りのない身体とはどんな状態か」と問われると「すべてが循環している状態」と言えるだろう。ストレッチは血流を促進し、身体全体に酸素と栄養素を供給しやすくする。また老廃物の除去もスムーズにおこなわれるため、身体の回復をサポートすることになる。代謝を促進するため、皮膚や肌など組織の入れ替わりも上手くいく。これは身体の柔軟性を向上させる。 寝る前におこなうストレッチは、筋肉や関節の可動域を広げ、身体を柔軟に保つのに役立つ。特に日常生活で固まりやすい部分を重点的にストレッチすることで、筋肉の柔軟性を保とう。柔軟性の低下した身体はケガや痛みのリスクを孕む。負債の少ない身体こそが良いコンディションの条件だ。睡眠だけでなく、身体にも負債が積み重なってしまわないように心がけよう。