東芝、承認なき決算発表 綱川社長「会計に影響するもの出なかった」と自信
東芝は11日、2回にわたって延期してきた2016年4月~12月期連結決算を発表した。当期純損益は5325億円の赤字、株主資本は2016年12月末時点で2257億円のマイナスで債務超過に陥っている。今回の決算について監査法人は「結論を不表明」としており、決算が承認されないまま発表される異例の事態となった。会見した綱川智社長は「このような結果になり誠に遺憾」と陳謝したが、会計への影響はないとして発表した決算の信頼性に自信を示した。 【中継録画】東芝が監査法人の意見なしで決算発表 綱川社長らが会見
2016年12月時点で2257億円の債務超過に
東芝はこの第3四半期決算を当初は2月14日に発表する予定だったが、米原発子会社ウエスチングハウス(WH)の内部統制に関する内部通報や、WH経営による部下への不適切なプレッシャーがあったとの指摘を受け、さらなる調査が必要として3月14日に発表を延期した。しかしこの日も発表できず、4月11日に再延期されていた。 綱川社長は、監査法人から具体的に修正を行うべき指摘を受けておらず、3か月以上にわたる調査の中で60万件に及ぶメールチェックでも問題は見つからなかったと説明。再び延期したところで「監査法人から適正意見の表明をもらえるめどが立たない」と異例の発表に踏み切った理由を述べた。 監査法人の承認を得ていない今回の決算だが、綱川社長は「自信のある数字。今まで調べて何も会計に影響するものが出てこなかった」とした。 東芝の株式は、東証から監理銘柄(審査中)に指定されている。また東証に不正会計の再発防止策を再提出していて、改善されていないと判断されると上場廃止になる。さらに今回、監査法人から決算について「結果の不表明」を通告された。2016年12月時点で2257億円の債務超過にも陥っている。 上場廃止の恐れを払しょくできない状況だが、綱川社長は、半導体メモリー事業の売却などで財務基盤を強化するなどして「上場廃止にならないように努力する」とあらためて述べた。 通期決算は5月中に発表する予定。監査法人を変える可能性について、監査委員会の佐藤良二委員長は「いろんな選択肢を検討していきたい」と排除しない考えを示した。