170円も視野に、市場介入リスクにも動じない為替トレーダー
三井住友DSアセットマネジメントグローバル債券グループの国部真二リードファンドマネジャーは、通貨当局が円買い介入に踏み切れば円相場は一時的に150円を割れ込む可能性もあるが、「長期的にみれば170円を目指すことになるだろう」と予想する。
みずほ銀行の経済・戦略責任者ビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は、1ドル=170円は「望ましいかと問われれば、答えはノーだ。それは可能性として排除されるかと問われれば、残念だが排除されない」と述べた。
資産運用マネジャーらも悲観的だ。24日に公表された米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、6月18日終了週に円売りポジションは積み増され、2006年までさかのぼるデータに基づくと、最も弱気なポジション状態となっている。
全ての専門家が円相場に対して否定的な見方をしているわけではない。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のシニア・ジャパン・エコノミスト、木村太郎氏は、「利回り格差がより有利に転じることで、向こう数カ月間の円相場は下落よりも上昇する可能性の方が高い」と指摘した。年内に日銀が2回の利上げを行い、連邦準備制度が2回の利下げを実施するとしたBEの予測を前提としている。
投資家は、日本の通貨当局が再び市場介入に乗り出すことで市場のボラティリティーが一層高まることに備えている。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、「1日に1円以上の円安進行が数日間続くことが介入実施の目安になる」との見方を示した。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のアジア外為戦略責任者アルビン・タン氏(シンガポール在勤)によると、当局による前回の介入以降、ドル・円相場が着実に上昇圧力にさらされているため、市場は介入を「それほど恐れていない」ように見える。
「日本の通貨当局にとってドル・円相場の明確なレッドラインが存在するのかどうかはなお疑わしく、160円を超える新たな高値更新が待ち受けている」とタン氏は指摘した。ブルームバーグがまとめたデータによると、1-3月(第1四半期)のドル・円相場予測のランキングで同氏はトップだった。