170円も視野に、市場介入リスクにも動じない為替トレーダー
(ブルームバーグ): 一段の円安を見込むトレーダーらは、日本の通貨当局が円買い介入に踏み切る可能性に動じておらず、円は1986年以来のドル高・円安水準まで下落するリスクがある。
三井住友DSアセットマネジメントやみずほ銀行によると、より利回りの高いドルが選好され円売りが続く中、現在の水準から約10円の円安である1ドル=170円まで下げる可能性があるという。
円は今年これまでにほぼ12%下落したが、トレーダーらは日本の通貨当局による円買い介入の可能性を含め、円安の勢いを反転させるのに十分に強力なきっかけとなり得る要因はほとんど見当たらないと指摘している。5月初め以降の相場の動きがそれを裏付けている。過去最大の約9兆8000億円の市場介入後も、円はほぼ元の水準に戻っている。
「ドル・円は比較的迅速に170円に到達する可能性がある」と、四半世紀にわたって円を取引してきたATFXグローバル・マーケッツのチーフアナリスト、ニック・トウィデール氏は指摘。「短期的な介入は効果がない」と述べた。
円に対する弱気な賭けの中心には日米の大幅な金利差がある。連邦準備制度はまだ利下げに踏み切っておらず、政策金利の誘導目標の上限は5.5%だが、日銀の政策金利はほぼゼロだ。欧州金利との比較でも同様で、円は対ユーロで最安値に向かっている。
これにより、世界で3番目に取引量の多い通貨である円は、より利回りの高いドルやユーロ、新興国通貨に対して売られる主要なターゲットとなっている。
神田真人財務官は24日、為替介入は「24時間いつでも準備できるようにしている」と述べ、市場をけん制した。
ドル・円は東京時間25日午前、1ドル=159円50銭前後で取引されており、日本の通貨当局が最初の介入を行ったとされる4月29日に記録した160円17銭からそれほど離れていない。2回目の介入は5月1日に行われたとみられている。
ブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)」のマーク・クランフィールド・ストラテジストは、「米金融当局には利下げを急ぐつもりはなく、トレーダーは円反転の鍵は日本の通貨当局側にあるとみるが、当局者の口先介入は今のところトレーダーに方向転換を促すにはほとんど至っていない」と分析した。