中国で大規模な景気刺激策の発表、復調の兆しがある中国株式市場の今後は?
また、この景気刺激策については、米国が4年半ぶりに利下げサイクル入りしたことに加え、「10月1日に中華人民共和国成立75周年記念を迎えること」も大きなポイントになっているとしている。
そして、この景気刺激策が市場に与える影響について、イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)の中国A株チームのリサーチ・ヘッドであるJingJing Weng氏は、「景気刺激策の主な注目ポイントは、中国人民銀行が“より積極的な財政緩和の可能性を示唆”したこと」と指摘する。これによって、市場が長らく待ち望んでいたさらなる財政緩和への道が開かれることになることに期待を持っている。そして、JingJing氏は「さらなる市場の上昇には、(1)財政緩和の拡大、(2)非金融の上場企業への資金支援の枠組みの明確化、(3)経済指標の改善、が必要になる」とし、引き続き、中国人民銀行の動向、今後の財政政策発表などを注視している。
また、同社のグレーター・チャイナ株式チームは、「グロース株式が投資家心理の改善からより大きな恩恵を受ける可能性が高い」と考えている。そして、「外国人投資家からの関心が現在は低いために低バリュエーション水準にある電子商取引関連株に魅力的な機会があるとみている。また、融資済みの住宅ローンに対する金利引き下げの発表は、それまで売り圧力にさらされていた銀行の悪材料の出尽くしとも捉えられ、一部の中国の銀行株も魅力的かもしれない。一方、これまで軟調だった消費関連株も、消費を押し上げる可能性のある後続の政策が発表された場合にはその恩恵を受けるかもしれない」と指摘している。
中国株式を主たる投資対象とした「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」にカテゴライズされるファンドは43本だが、これら43本の合計で純資産総額は約1325億円しかない。これは、インド株式を主たる投資対象にするファンドの純資産総額トップの「野村インド株投資」の純資産総額5265億円の約4分の1の水準になってしまう。中国株式ファンドは、過去3年間の年率トータルリターンがマイナス7%~21%程度というのが多く、「フィデリティ・チャイナ・フォーカス」や「損保ジャパン 拡大中国株投信」など一部の銘柄を除けばマイナスリターンになっている。3年も続いてマイナスのリターンを記録していては、人気も離散してしまうということだろう。インド株式ファンドの方は、3年トータルリターンが年率20%を超えるようなファンドが多数存在している。
一方、中国経済が政府による景気刺激策を受けて復調するようなことになれば、過去3年間の低迷ぶりがひどかっただけに、意外と大きな戻り相場が期待できる。中国政府の姿勢が、どこまで腰の入ったものであるのか確認する必要があるが、新しい投資機会が感じられる市場として中国株式市場もチェックしておきたい。(グラフは、主要な中国株式ファンドのパフォーマンス推移)
ウエルスアドバイザー