車両盗難対策には「接触」「侵入」「持ち去り」の3ステップを防ぐべし!クラウド保存タイプのドラレコやプロテクトデバイスに追跡ツールを活用
一部の高級車に被害が限られていたのは、とうに昔の話。今ではどんなクルマにも盗難のリスクがつきまとう。プロ集団に真っ向から抗うことは難しいものの、回避する自己防衛の手段は多くあるう。ここではその方法論として、段階を追った防衛策を見て行こう。接触せずとも電波ジャックにも備え どんな犯罪にも共通することながら、悪意の発端は接触から始まる。愛車にまつわるそれも、異常な接近が端緒となる場合がほとんど。接近そのものは法に触れずとも、通常は禁忌とされる行為だけに、不審な行動としてまずはこの段階から対策を講じたい。 最近では駐車監視機能がついたドライブレコーダーも一般的になっており、この段階で映像記録を証拠として残すことがまず大事。何より録画中のアクションが抑止効果にもなり得る。 その存在に気づき、悪意が止まればいい。部品盗やイタズラの類いなら効果を発揮する可能性もある。ただ、車両盗難を前提にした大掛かりなものだとすれば、レコーダー本体ごとを持ち去ることで記録をなかったことにもできる。 こんな際にも有効なのが、クラウド保存機能を持つ通信モデルだ。パイオニアのNP1は、衝撃感知をトリガーとして記録映像をサーバーに保管するために、本体ごと奪われても記録は残る。またクラウド保存と同時に、スマホにその情報を通知することも可能。プの窃盗集団が相手の場合は現場への駆け付けにリスクがあるため、録画映像をスマホからでチェックできるのは大きな強み。誤作動かどうかの確認も間をその場から行える。 一方、人の関与なく、システム側が即座に警告を発せられるのがカーセキュリティシステムの強み。オプションの拡充いかんにより様々な形態があるものの、異常探知で警報と威嚇を行うことが今も変わらぬ基本機能。このファーストアクションで、次なる手を防ぐ抑止力にもなる。 最近では、愛車に触れることなく車内侵入を可能にする手口もある。リレーアタックという言葉を聞いたことが人も多いだろう。スマートキーから発せられる電波を悪用する形で解錠およびエンジン始動まで可能にするというこの手口も、根本対策は至ってシンプル。未使用時では、電波を遮断しておけばいい。出し入れの手間こそ掛かるものの、ポケットや缶など、手頃な対策用品も多く出ている。 車両制御へのアクセスを専用デバイスでプロテクト 車内侵入を許すような状況ではいよいよ待ったなし。いまだ犯行を周囲に気付かれていない状況では、車内に潜り込まれることで余計に気配を消されてしまう。最初のバリアを突破されることで、車両盗難のリスクもグンと上がるわけだ。 そうなった時こそ第二の矢。たとえ車内に侵入されていても、エンジン始動できない仕掛けを施しておくことで犯行を足止めできる。最終的には解除可能な対策であっても、時間が掛かると察知した時点で踏みとどまるケースも多いと聞く。プロの犯行こそ、効率を重視するためだ。 後付けのメーターや電源取り出し用にカスタム派にも多く使われるOBDII端子は、窃盗犯にも悪用されることがある。この端子から車両データにアクセスし、任意に車両制御を行う手口も存在するためだ。 このケースは車両侵入できたことが前提ながら、クルマの外からデータアクセスする方法もある。ニュース等でしきりに報じられる、CANインベーダーという手口がそれ。もっと言えば、コードグラバーという手法も最近よく聞かれるようになった。これはスマートキーから発せられる電波を読み取り、無断でスペアキーを作るというものだ。 手段こそ違えど、悪意をもって第三者が勝手に車両を動かすことができる事実をまずは押さえておきたい。デジタルによる高度な純正システムは、一方でこうした穴を生んでいるというわけだ。 けれど、だとすれば対策はある意味シンプル。その手口を踏まえた対策を講じておけばいい。あらかじめ攻め口が分かっていれば、要所となる穴を埋めることで効率的に防御力を高められることにもなるからだ。 特に注目しておきたいことは、その手口いかんを問わず、専ら攻撃対象は純正の制御におかれるということ。突破されることを前提に、純正とは別の仕掛けを講じておけば、窃盗犯にとっても想定外となりうる。 市販カーセキュリティーシステムにはそれ用のオプションが設けられ、最近ではパスコード式のスマートかつ手軽なデバイスも入手できるようになっている。いずれも絶対の対策とは言い切れないが、解除には手間が掛かり、プロほどに敬遠される傾向にある。その意味でも、有効な対策と言えるだろう。 所在がわかればまだ次の手を打てる! 気付いたら車両がそっくり消えていて、手がかりもなく後の祭り……。かつてはあったそんな悲劇も、今では別の対策を講じることができるようになっている。 それこそが車両追跡のツール。たとえ愛車が持ち去られた後でも、在処さえ分かれば警察も動きようがあるし、第三者の発見によってガラを抑えられれば、窃盗犯によるその先を封じることができる。 同様のシステムは、二十年以上前からあるにはあった。ただ、スマートフォンの拡充とデジタル技術の進化により、より導入障壁は下がっている。 もっとも身近なところで言えば、スマートフォン用の紛失防止タグだろう。置き忘れなどの防止用に使われる簡易デバイスながら、車両にしのばせておくことでトラッカー代わりにもなる。サービス利用の費用も発生しないし手軽に使えるのは魅力ながら、その位置精度には多くを望めないし、窃盗犯がその存在に気付いて車両から排除してしまうおそれもある。 一方で、カーセキュリティ用の専用デバイスはこの限りではない。専用アプリで位置捕捉の精度も期待でき、プロインストーラーによる高度な取り付けによって、デバイス排除のリスクも下げられる。車両からの給電も前提になるため、電池切れの心配もない。 ネックとなるのは、デバイス導入の初期出費もさることながら、サービス利用のランニングコストだろう。概ね1000円~ 2000円ともなるこの出費をどう取るか。けれど、かつてと比べてそのコストも下がっており、他に変えられない頼みの綱と言うこともできる。とりわけ盗難リスクの高いクルマに乗る人ほど、そのありがたみは大きいはずだ。
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