トランプ氏再選でPFAS政策の行方は? 前回の任期中には飲み水の規制値を「先送り」していたが…
それでも汚染は「半永久的」か
ただ、浄化を完了するまでの道のりの困難さを指摘する論文がある。ハーバード大のブリッジャー・ルイル博士などが米国立環境研究所などの支援を受けて、米軍基地の泡消火剤の影響を探った研究だ。 <世代を超える消火訓練場のフォエバーケミカル> マサチューセッツ州のケープゴッド基地にある消火訓練場では1970~1985年まで泡消火剤が訓練に使われていた。使用をやめてから40年近くなっても、地下水からは、同州が定める飲用水の規制値(20ナノグラム)の2千倍を超える濃度が検出されたという。 つまり、放出された泡消火剤の大半が地表に近い土壌に溜まったまま、事実上「PFAS貯蔵庫」となっているというのだ。
さらに深刻なのは、泡消火剤の半分ほどを占める、前駆体と呼ばれる物質の存在だ。 土壌中で微生物などによって化学変化を起こして、のちにPFASになる。つまり、この前駆体が時間をかけてPFASとなり、さらに深いところを流れている地下水へと移行していくと見られている。 <土壌の浄化・修復が行われなければ、地下水の濃度は2500年までに州規制値を下回ることはない> このままでは半永久的な汚染がつづくというのである。 本土と運河で分けられた半島にあるケープゴッド基地のように特殊な地理的要件がなくても、放出された泡消火剤が地中に「汚染プルーム」をつくるメカニズムは共通している。 はたして、米国外の米軍基地ではどう対処されているのか。次回、報告する。 現在配信中のスローニュースでは、日本国内の米軍基地からも汚染が広がっている問題を明らかにしている。横田基地からは大量のPFOSを含んだ水が多摩川に流出したとみられる。
諸永裕司