麗澤大の川上和久教授（松崎翼撮影）

27日投開票の衆院選について、麗澤大の川上和久教授（66）は産経新聞のインタビューに応じ、「衆院選は国の形を問う選挙。立憲民主党がどんな政権構想を描き、自公政権と違った政策を打ち出すかに注目している」と語った。 【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」 石破茂首相が（当初は全閣僚出席の予算委員会後とみられていたにもかかわらず）「手のひら返し」と批判されながらも、早期の衆院解散に踏み切ったのは、政権運営に当たり、不確定要素が増すからだ。麻生太郎内閣で解散を先送りにした結果、政権交代に結びついたトラウマがあり、同じ轍（てつ）を踏みたくはなかったのだろう。選挙での勝利を優先させた判断だといえる。 首相は党派閥パーティー収入不記載事件に端を発した「政治とカネ」の問題に厳正に対処したうえで、衆院選では経済政策や安全保障政策などを巡り、自民、公明両党の連立政権で築き上げた実績をしっかり引き継ぎ、浸透させることが求められている。 特に、経済に対する国民の関心は高い。賃上げやデフレ基調からの脱却など、岸田文雄政権から石破政権が継承することについて、有権者がどう考えるのか。台湾有事の可能性もある中、防衛費の使い方も争点になり得るだろう。 選挙戦が、「石破氏VS立憲民主党率いる野田佳彦代表」という対立構図になっても、考え方には共通点が多く、争点を作り出すのは難しいのではないか。 野党からの攻撃材料は、「手のひら返し」と「政治とカネ」問題になる。ただ、衆院選は国の形を問う選挙だ。立民がどんな政権構想を描き、自公政権と違った政策を打ち出すかに注目している。 有権者は、よほど生活に困り、国に「どうにかしてくれ」という状況にならなければ、一票を行使する気にはならない。現在は「目に見える危機」がないため、投票率が劇的に上がることはないだろう。 先の東京都知事選では、（政党の支援を受けない元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が躍進した）「石丸現象」が起き、投票率が上がった。若者に目を向け、インターネットを使った戦略の展開は欠かせない。 ■かわかみ・かずひさ　東京都調布市生まれ。東京大社会学研究科博士課程単位取得退学。第1次安倍晋三政権での内閣府参与や明治学院大教授などを経て、令和2年から現職。著書に「18歳選挙権ガイドブック」（講談社）、「二大政党制は何をもたらすか」（ソフトバンククリエイティブ）など多数。お薦めの一冊は、禅僧の山本玄峰氏の説法を記した『無門関提唱』。趣味は日本拳法や空手。