国内株価の最高値更新! 新NISAの投資先選定でも参考にしたいGPIF運用機関が選ぶ優れた統合報告書
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2月21日、「GPIFの国内株式運用機関が選ぶ『優れた統合報告書』と『改善度の高い統合報告書』」を発表した。2018年1月に最初のレポートを発表して以来、毎年、運用機関の評価を集約し、その結果を公表している。「優れた統合報告書」と評価された企業は、ニュースリリース等を通じて「GPIFの国内株式運用機関が選ぶ優れた統合報告書に選出された」と発表するようになり、企業の間に統合報告書の作成を促す効果も出ていると考えられる。国家戦略としてインベストメント・チェーン全体の質的向上を目指すことをめざす日本で、アセットオーナーの頂点に立つGPIFが率先して統合報告書の重要性をアピールしている。新NISAでは、投資信託とともに上場株式への投資も可能だ。長期に投資できる投資先企業を選定する際に、GPIFの国内株式運用機関の評価は参考になるだろう。
「統合報告書」は、「有価証券報告書」や「アニュアルレポート(年次報告書)」において公表される定量的な財務情報に加えて、企業理念や社長メッセージなど数値だけではわからない非財務情報をまとめた資料のこと。「財務情報」と「非財務情報」を統合して発表することから「統合報告書」といわれている。「有価証券報告書」などが主に株主や投資家などステークホルダー向けのIR(投資家向け情報)資料と位置付けられることに対し、「統合報告書」は株主、投資家、取引先や金融機関以外にも地域社会や従業員など、より幅広い関係先に向けた情報発信という側面がある。特に、近年では「サステナビリティ(事業の持続可能性)」や「ESG(環境・社会・ガバナンス)」などの非財務情報が重要視されるようになっていることから、「有価証券報告書」のように発行が義務付けられているわけではない「統合報告書」の重要性が増している。
今回のレポートは、GPIFが国内株式の運用を委託している13運用機関に対し、「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」について、それぞれ最大10社の選定を依頼した。「優れた統合報告書」については延べ70社(前回は67社)、「改善度の高い統合報告書」は延べ100社(前回95社)が選ばれた。この結果についてGPIFでは、「企業規模別で見ると、優れた統合報告書では、相対的に経営リソースが豊富な大型企業が選定の約半数を占めていますが、改善度の高い統合報告書では中小型企業が大半となるなど、統合報告書の作成の広がりと質の向上が伺えます」としている。