日本維新の会、宙づり国会でなぜ孤立した?与党も国民民主も遠のく迷走の果て
>>前編「2025年、宙づり国会を操るのは国民民主党か? 決定的な交渉力の源泉となる2つのデータ」から続く 【写真】この時は「ノーサイド」と言っていた前原誠司氏 (足立 康史:日本維新の会・前衆議院議員) ■ 5.囚人のジレンマを乗り越えたい日本維新の会 前編では、宙づり国会においてキャスティングボートを握る政党が野党第1党の立憲民主党ではなく、第2党の日本維新の会でもなく、第3党の国民民主党なのかということを2つのデータを根拠に分析した。 もちろん、国民民主党が合理性を欠いた無理難題を要求し続ければ、与党自民党も、それなら少なからず異論のある政策であっても日本維新の会と組んだ方がいいとなる。 だからこそ与党自民党公明党は、国民民主党と所得税の基礎控除等の引き上げに向けた交渉を続けながら、並行して、日本維新の会とも教育をテーマとする専門チームを設置し、2月中旬をメドに高校授業料無償化の方向性をまとめることとしている。 2月中旬というのは、当に来年度予算案の採決の直前である。こうした与党の対応ぶりは、総選挙で躍進した国民民主党を優先するものであり、優先交渉権を得ている国民民主党を差し置いて早々と日本維新の会と交渉をまとめる気がないことを示している。 そして、予算の採決が迫ってくる2月になって、どうしても国民民主党と折り合えないとなった時に、はじめて日本維新の会が交渉相手として浮上するのである。 もちろん、日本維新の会も、そうした劣勢を手をこまねいて傍観しているわけではない。 昨年12月中旬、日本維新の会の創業者であり新体制〈吉村―前原体制〉の影のプロデューサーである橋下徹氏は、「維新と国民民主が自分の手柄だけを考えれば政府与党の思うつぼ。まさに囚人のジレンマ。維新と国民民主は分断されずに横連携することによってこそ一緒に手柄を取れる関係」とXにポストした。 吉村洋文新代表も、役職停止中であるにもかかわらず国民民主党の玉木雄一郎衆議院議員に秋波を送り続けている。 「囚人のジレンマ」とは、ゲーム理論のモデルの1つで、利害関係のある2者が自分の利益を最大化しようとする結果、協力した場合よりも悪い状態に陥ってしまうことを示す。 そうした橋下理論に従い、吉村代表は、「喫茶たまき」と銘打って玉木雄一郎議員の議員会館事務所に押し掛けたり、石丸伸二さんに仲介を要請したり、あの手この手で国民民主党との協力に向けた対話に努めているのである。