豪中銀の慎重な政策スタンス、インフレ高止まりへの憂慮浮き彫り
(ブルームバーグ): オーストラリア準備銀行(中央銀行)が前回利上げしてから5カ月が経過し、その間にインフレは鈍化し、景気は減速した。だがブロック総裁は、追加利上げの可能性を排除できないと主張している。
下のグラフが示すように豪中銀の対話姿勢は一段とハト派的になったが、ブロック総裁の発言ゆえにエコノミストらは政策スタンスに関する判断に苦慮している。
ゴールドマン・サックス・グループとオーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)は中立、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は、緩やかな引き締めバイアスが残っていると指摘している。
ゴールドマンのアンドルー・ボーク氏は「豪中銀の反応関数はあいまいだ」とし、「マクロデータは予測に合致しただけだとの解釈を示しているが、政策スタンスがよりハト派的にシフトしていることは有益な情報だ」と分析。
同氏は「明確な緩和バイアス」への移行は来月の政府予算公表後になると想定する。エコノミストの間では、豪中銀が現在4.35%のオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標の引き下げを今年10-12月期に開始するとの見方が多い。
ここ数週間、豪中銀の対話に一定のあいまいさがあったことは間違いない。3月の政策決定発表後の記者会見で、利上げが検討されたかと問われたブロック総裁は、「政策委員会はさまざまな可能性を検討する」とし、「われわれが今いる地点は、いる必要のある地点だ」と答えた。
豪中銀、タカ派寄りのバイアスを修正-12年ぶり高水準に金利据え置き
ただ先週発表された議事要旨によると、2022年に引き締めサイクルが開始してから初めて、利上げが議論されなかった。
豪中銀が懸念しているのは、なおひっ迫している労働市場が大幅な賃上げ要求に拍車をかけ、それを打ち消す生産性向上を伴わずに新たなインフレ圧力を引き起こす恐れだ。
豪州の労使裁定機関である公正労働委員会は6月前半、個人・企業の合意の基準となる最低賃金に関する決定を下す予定だ。これは豪中銀にとって重要なシグナルとなる見通し。