《ブラジル》橋崩落で14人死亡、3人行方不明=硫酸76トンと農薬2万2千㍑も
昨年12月22日午後、北部マラニョン州とトカンチス州の州境を流れる川に架かった橋が崩落し、5日現在14人の死亡が確認され、3人が行方不明だ。事故はマラニョン州エストレイト市とアギアルノポリス市を結ぶジュスセリノ・クビシェッキ・デ・オリベイラ橋で発生した。橋崩壊時、トラック4台、バン2台、自動車1台、バイク3台が落下したとグローボ等現地メディアが報じた。 この橋は1960年代に建設され、全長533メートルある。数年前から割れ目拡大やコンクリート劣化がたびたび報告され、地元でも問題視されていた。 河川海岸を管轄する海軍は、事故発生時から17人の行方不明者がいると発表。身元の確認ができていない1人の遺体は、サンルイス市の法医学研究所(IML)に送られ、DNA鑑定が行われている。 事故犠牲者のバイクタクシー運転手のマルソンレイ・フェレイラさん(43歳)は橋が崩壊する数分前に乗客を降ろし、エストレイト市に戻る途中だった。その道中にエリアス・ジュニア・アギアルノポリス市議会議員のインタビューに応じ、道路の状況について語っていた。インタビュー後、橋を渡った直後に橋が崩壊した。マルソンレイさんの遺体は3日に発見され、5日に埋葬された。 このインタビューから橋の崩壊まで一連をエリアス議員自身が撮影していた。偶然、崩落の瞬間を記録していたエリアス市議は、まさに橋の老朽化した状況を記録するために現場を訪れていた。 連邦政府交通インフラ局(Dnit)によると中央支柱が折れたため事故が発生したとするが、詳しい崩落原因は調査中だという。Dnitは「崩壊しなかった橋の部分は再建設の前に全て解体すべきだろう」とコメントした。国道226号線上の橋の改築工費は約1億7200万レアル、今年12月22日までに工事が完了する予定だ。 捜索チームが発見した犠牲者の遺体を確認するため、対策本部が設置された。公安事務局によると、公的医療専門家、犯罪科学者、検死官、指紋識別官などで構成されている。 事件発生時、トカチンス川に転落した3台のトラックのタンクには、76トンの硫酸と2万2千リットルの農薬が積まれていた。だがタンク自体は無傷とみられ、環境汚染のリスクは最小に免れたとされている。また落下したドラム缶が回収され、化学物質が漏れた形跡はなかったと報告されている。しかし、タンクは15日から30日間水没したままになる可能性がある。 水管理・衛生庁によると、トカンチス川は事故発生前と後で水質に変化はないという。ブラジル農業研究公社(EMBRAPA)が実施した12月26日に採取したサンプルの検査では問題がなかった。27日から29日に採取されたサンプルの分析結果は、来週には出る予定だ。 エストレイ市は事故を受け、緊急事態宣言を行った。政令では、橋の落下によって生じた緊急対応に市が十分な技術や資金を市が持っていない場合、連邦政府と州政府に技術的および財政的支援を求めることができると述べられた。