桐畑恒治が選ぶ今年の1台は「シンガー クラシック・ターボ」━━【若者はこれに乗れ! KURU KURAカー・オブ・ザ・イヤー2024-25】
家族でお出かけしたいクルマ
■ホンダ フリード|Honda Freed これ見よがしな威圧系が多いミニバンの中で、ほっこりと落ち着きを感じさせるのがフリードだ。歴代モデルから使い勝手や走行性能といった基本部分はしっかりと仕上げられていたが、現行型ではハイブリッドパワートレインのe:HEVも含め、全方位的にレベルが大幅に向上した。 室内の収納力は抜群で、シートアレンジも多彩。とにかく使い勝手が良い。洗練されたモダンリビングよりも、どこか生活の気配を感じさせる居間のような空間が広がっているほうが、お出かけの際にもくつろげていい。そしてそれをこのボディサイズと価格で実現している点こそ、まさにファミリー向け。日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞に選ばれたのも納得の実力派である。
運転が楽しいクルマ
■アルピーヌ A110|Alpine A110 運転の楽しさとは、すなわち夢中になれることだ。そう考えると、選ぶべきはやはりスポーツカーである。そのなかでも、現実的な理想として浮かび上がるのが、一定の快適性を備えながら、軽量かつコンパクトに仕上げられているクルマ。その代表格が、2シーターミドシップという伝統的なフォーマットを現代的な技術で再構築し、見事にスポーツカーの本質を体現したアルピーヌA110である。 この一台は、往年のラリーカーをルーツに持つ洗練されたデザインと、ひらりひらりと舞うような軽快な走りをあわせ持つ。快適さを損なわずに運転する楽しさを突き詰めたその特性は、「夢中になれるクルマ」の代名詞としてふさわしい存在と言えるだろう。
いま20代だったら欲しいクルマ
■スマート ロードスター|Smart Roadster うーん、悩ましい……が、(いまでは廃番の)スマート・ロードスターは外せない。かつて所有していたことがあり、いつかまた手に入れたいと願っている一台だからだ。速さこそないものの、その軽快さは際立っている。独特なスタイリングも魅力的で、他人とかぶらない点も好ましい。走行中でも電動トップを開けて気軽にオープンエアを楽しめるのも大きなポイントだ。 そう考えると、軽量コンパクトでスタイリッシュ、そしてリーズナブルなオープンスポーツならもう少し選択肢は広がるか。とにかく身の丈に合っていて、自身の感性を磨いてくれるようなクルマがいい。そして、多くの若きクルマ好きにもそんな心に残るような一台を選んでほしいと思う。
文= 桐畑恒治 写真= シンガー