田中貴金属工業、金ペーストで新接合技術確立。半導体の高密度実装実現
田中貴金属工業は7日、金・金接合用低温焼成ペースト「オーロフューズ」を活用した高密度実装向け金粒子接合技術を確立したと発表した。同材料の乾燥体を用いて、20マイクロメートルサイズで4マイクロメートル間隔の狭ピッチ実装を実現した。200度、20メガパスカル、10秒の熱圧着後で、圧縮方向に約10%の収縮率を示しながら水平方向への変形は少なく、実用化に十分耐え得る接合強度を持つ金バンプ(突起状の電極)として使用できる。半導体の配線の微細化・多種チップの集積を可能とする技術で、光デバイスやデジタルデバイス、車載部品など高度な技術を要する先進分野での活用を見込む。 オーロフューズは、サブミクロンサイズの金粒子と溶剤のみで構成され、低電気抵抗かつ高熱伝導率に加え、低温で金属接合を実現する接合材料。同社は半導体の高密度実装を実現するため、多孔質による凹凸追従性、低温かつ低加圧で接合可能という特徴を持つ同材料を活用した研究開発を進めてきた。当初は主流な使用方法であるディスペンスやピン転写、スクリーン印刷法による実現を目指したが、ペーストの流動性によって高密度実装には不向きだった。今回確立した技術では接合前にペーストを乾燥させて流動性を失くすことで横広がりを抑え、高密度実装を可能にした。また、多孔質構造であるため、変形が容易で、電極間に高低差がある場合や、基板の反り、厚みの差がある場合でも接合できる特徴がある。 半導体デバイスを実装する上での接合方法には、はんだ材料やめっきを使用する方法など、目的に合わせさまざまな方法が採用されている。はんだ材料を用いる方法は低コストでスピーディーにバンプを作製できるが、バンプピッチが微細になるにつれ、はんだ材料が溶融時に横広がりしてしまうため、電極間の接触によるショートの懸念がある。また、無電解めっきで銅や金めっきバンプを作製する方法は狭ピッチを実現できるが、接合時に比較的高い圧力が必要なため、チップの破損につながる懸念がある。