掛布雅之新OB会長が30日誕生 300万人動員も大型補強に乗り出さぬ球団に「喝」を 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
■もうけはどこへ
阪神の今季の観客動員は300万9693人でした。ホーム72試合で1試合平均は4万1801人でした。12球団で一番お客さんが入ったのは阪神です。球場のチケット代やグッズ代、球場内の飲食収入、甲子園駅までの阪神電車の往復運賃やテレビ、ラジオの放映権料などを含めると、いくらもうけたのでしょう。
タイガースは現在、阪急阪神ホールディングスのエンタテインメント事業の中にありますが、収入はほとんど上納されていて、球団の金庫にはほとんど何も残っていないのでしょうか?と勘繰りたくなるほど、球団の金庫の扉は重いですね。
かつて久万俊二郎オーナーは「うちは巨人のようにはいかない」と大型補強には消極的でした。当時、毎年のようにシーズン200万人の観客を動員している時代でしたが、久万オーナーはタイガースにまつわるお金の動きをこう説明していました。
「タイガース単体ではもうけているが、そのお金は電鉄本社に入る。うちは連結決算なので、他の赤字のグループ会社の補填(ほてん)に使われる。グループ全体とすれば、そんなにお金は残らない」
当時は六甲山の施設や甲子園阪神パークなど、多額の赤字補填にタイガースがもうけたお金は回されていて、球団がもうけたお金なのにチーム強化にはほとんど使えなかったのです。そんな〝縛り〟が経営形態が変わった今でも残っているのか?と思ってしまうほど補強戦略は鈍いですね。
それこそ、新OB会長に就任する掛布氏に一喝してほしいものです。そんなんじゃあ、来年も巨人に勝てないぞ!と、大喝をお願いしたいですよ本当に。「オフはフロントの戦争」と言ったのは星野仙一さんでした。ストーブリーグで戦わないならば、そのツケは確実に来シーズンに支払うことになります。
【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。