<解説>「少年ジャンプ+」創刊から10年 「SPY×FAMILY」「チェンソーマン」の人気マンガアプリが変えたアニメとの関係
「SPY×FAMILY」や「チェンソーマン」、「ダンダダン」などアニメ化された人気作品を精力的に送り出しているマンガアプリ「少年ジャンプ+」(集英社)。“初回全話無料”も手伝って、これまでよりも手軽に原作マンガに触れやすくなっているようだ。アニメコラムニストの小新井涼さんが、“ジャンプラ”がアニメにもたらした変化を解説する。 【写真特集】ジャンプラの話題作「ダンダダン」 迫力の映像! 変身オカルンが格好いい!
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集英社によるマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」通称“ジャンプラ”が、今年9月で創刊10周年を迎えました。ジャンプラといえば、「SPY×FAMILY」や「怪獣8号」、そして今期も「ダンダダン」と、連載作品のアニメ化が話題になることも最近ますます増えてきています。こうした当アプリの台頭は、“マンガのアニメ化”に際しても、この10年のあいだに様々な変化をもたらしてきました。
変化の主な要因のひとつとしてあげられるのは、当アプリの“初回全話無料”という機能です。ジャンプラオリジナルの連載作品は、雑誌の購入や都度課金の必要なく、初回の一度だけ全話無料で、最新話まで読むことができるようになっています。この機能は、単にお得というだけでなく、マンガがアニメ化した際の人々の反響を変化させてきました。
たとえば、アニメから作品を知った人が、その先のエピソードを原作マンガの方で履修する“アニメの追い越し”が、より手軽に行われるようになったと思います。
実際にアニメの放送終了後、先の展開が気になった時に、これまで雑誌やコミックスに手を伸ばすまではいかなかったけれど、初回全話無料の手軽さに原作を最新話まで読み進め、今では毎週更新を追うようになったという経験をした人も少なくないのではないでしょうか。このことは、従来であればアニメの放送終了と共に一旦作品を追わなくなっていた人たちを原作マンガに招き入れるだけでなく、先のエピソードを知ることで、放送終了後も人々のアニメ続編への期待や熱量を保ち続けることにも繋がっているように思います。