世界遺産登録に難クセ 「佐渡金山」を突破口に「日本統治不法論」を認めさせたい韓国
「植民地になったことなどない」
――韓国の狙いは「強制労働だったから補償しろ」ということですか? 鈴置:それもあるでしょうが、本当の狙いは「1910年の日韓併合条約は不法だった」と日本から言質を取りたいのです。「不法な強制労働」との認定を手掛かりに「併合そのものが不法だった」と日本に認めさせる作戦です。逆に、「徴用」だったのなら「日本による朝鮮半島統治は合法」が前提の話になってしまいます。 ――今頃不法だ、と認めさせて何の意味があるのでしょうか? 鈴置:21世紀になって国力が飛躍的に増大すると、韓国人は「日本の植民地になったことなどなかった」と信じたくなったのです。もちろん、現実の朝鮮半島は1910年から1945年までは日本の統治下にありました。せめて、「法的には植民地になったことはない」「形式的には独立国だった」という歴史に書き換えたいのです。 「佐渡」も同じことです。韓国政府は登録の条件として日本政府に「強制労働者の碑」を建てるよう要求している模様です。碑文に「強制労働」と書かせれば、しめたものです。「植民地支配不法論」の新たな証拠になります。
韓国大使を信じた朝日記者
韓国の尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日大使は2024年4月4日、新潟県の花角英世知事を表敬訪問しました。その後、新潟の記者に対し「佐渡」の世界文化遺産登録に関し「マイナスの歴史もある。全体の歴史を表示できる形でやる必要があるのではないか。絶対反対ということではない」と述べています。 要は新潟まで行って、朝鮮人強制労働を認めないと登録に反対すると脅したのです。花角知事は尹徳敏大使に対し「政府間で議論して欲しい」と答え、相手にしませんでした。 だが、地元記者の一部は大使の主張を素直に信じたようです。4月10日の花角知事との会見で「知事の不誠実さ」を責めました。新潟県のホームページによると以下です。 ・尹大使の仰る、戦時中にたくさんの韓国からの労働者たちが、厳しい環境の中で意思に反して動員された、労働したという、そのことについて、県としてはどういう認識であるのか。史実について…。(新潟日報) ・尹大使としては、新潟県にさらに一層の何か協力を求めたと我々受け取ったのですけれども、少しやや冷たいような気もしたのですが、地元としてさらに…。(朝日新聞) ・何となくですけれども、尹大使がこの時期に新潟県と佐渡市を訪ねたことは、無駄足になってしまっている…。(朝日新聞) 尹徳敏大使の「活躍」というか「暗躍」はなかなかのものです。2023年9月27日、東京での講演で「日本からの解放80年になる2025年に新たな未来に向けての宣言が必要だ」と日本人に訴えました。 「フランスとドイツの和解・友好の礎となった1963年のエリゼ条約(仏独協力条約)に準ずる」宣言と説明しています。「韓日も仏独のように戦争していた」ことが前提の宣言を通じ「1910年から1945年までは独立国同士の戦争だった」――つまり「植民地ではなかった」と日本政府に認めさせる罠です。