2年がかりの米大統領選が実質スタート なぜこんなに長い選挙を行うのか?
ヒラリー・クリントン前国務長官は9月14日、アイオワ州での政治イベントに夫のビル・クリントン元大統領と出席しました。2016年の大統領選挙の民主党の大本命であるヒラリー氏が予備選・党員集会のスタートとなるアイオワ入りしたのは、公言しなくても出馬を表明したようなものです。実際、次期大統領選について「考えているのは事実」と語り、「次期大統領選が始まった合図」など、アメリカのメディアは一気に騒ぎ立てています。ヒラリーのアイオワ入りを“義理”で待っていたバイデン副大統領もその直後にアイオワ入りをしたように、これで一気に2年後の大統領選挙も動いていきます。 すでに2016年大統領選挙の候補者の支持率についての世論調査も数多く、民主党ではヒラリー氏がトップ、共和党では様々な候補で支持が割れています。すでに何度もアイオワ州入りしている共和党候補も数多く、テレビ選挙CMもすでに始まっています。 でもよく考えると、大統領選挙のアイオワ州党員集会は2016年2月1日に予定されており、まだ1年3か月ほどあります。さらに、本選挙の2016年11月までは2年以上もあります。少し大統領選の基本を確認しながら、なぜこんなに長い選挙戦をするようになったのかを確認してみます。
米大統領選の「2つの段階」
4年に1度行われる米国の大統領選挙は先進国では例があまりないほど、長期間にわたって行われるため、マラソン競技にたとえられてきました。この「マラソン」には大きく分けて2段階あります。第1の段階は民主、共和両党がそれぞれ党の大統領候補を選び出す「予備選段階」で、予備選段階で選ばれた両党の指名候補が大統領の座を争う「本選挙」が第2段階です。 予備選段階は、夏の両党の全国党大会に送り込む代議員を獲得する争いです。選挙年の初めから順次開かれる各州の党員集会と予備選の結果で、どの立候補者に代議員を割り振るかが決められていきます。予備選段階のうち、真っ先に行われるのが、アイオワ州党員集会、ニューハンプシャー予備選でその後、多くの州が予備選を集中させるスーパーチューズデーなどを通じて代議員の獲得が進み、夏の全国党大会で代議員が党の統一候補を選ぶ形です。 予備選段階は、立候補者が全米各地をまわり、国民と直接接します。予備選段階の時間が長いため、国民にとっては、候補者が国のリーダーとしての力量を持っているか、じっくり確かめることができます。そのため、予備選段階が長いことは、草の根の民主主義をはぐくむ絶好の機会ともいえます。