営業で「社内検討します」と言われた時どうする? 言われた通りに待っていては成績は上がらない
一方、売れる営業は、ここで「追加のアクションが必要である」と心得ているので、「社内で検討しますのでお待ちください」と言われても、何かしらお客様と接点を作る工夫をします。 たとえば「いったんお待ちしますが、もしお役に立てる情報があれば、お邪魔にならないようメールでお送りしますね」などと返しておき、タイミングを見てお役立ち情報をメールで送るのです。そこで返信が来るようなら脈アリと読んで、コンタクトをし、追加の説明機会や再提案によって受注を勝ち取ります。
当社が実施したお客様1万人調査によると、「検討しますのでお待ちください」と言うお客様が「もうこの営業からは追加で話を聞かない」と本気で思っているケースはわずか13.7%です。残りの86.3%は、実は追加で話を聞いてもいいと思っているものの、その場しのぎで「検討しますのでお待ちください」と言ったにすぎません。 次のグラフをご覧ください。 最も多かった回答は「提案内容に不満があったので、そこを改善してくれれば話を聞いたと思う」というものです。
■まずやるべきは「購買者の仮面」を外すこと 注目していただきたいポイントは、「本当は追加説明のチャンスがあるのに、お客様は営業に対してチャンスがあるとは伝えていない」という事実です。 表面的なセリフとして「検討しますのでお待ちください」と言ってくるお客様のうち86.3%は、心の中では(特定の条件が満たされれば)話を聞いてもよいと思っています。「お待ちください」と言われてそのまま待っていても、受注は増えないのです。
この、「表面的なセリフ」と「裏側にある本音」のギャップを理解しないと、残念ながら、営業の成果は出ません。なぜかというと、お客様は、とっさの防御反応でこのようなセリフを口にすることが多いからです。 「とりあえず、予算は決まっていなくて」 「とりあえず、今は忙しいです」 「とりあえず、すぐに見積もりをくれませんか」 「とりあえず、もっと安くなりませんか」 「とりあえず、社内で検討しますのでお待ちください」 この「とっさの防御反応」を、本稿では「購買者の仮面」と定義します。
「お客様と関係構築しよう」といくら努力しても、「購買者の仮面」を外すことができなければ、営業はズレた努力をしてしまうことになります。 しかし、「ガンバリズムの罠」にハマった営業は、「言われた通り真面目にがんばる」という世界観で行動しているため、仮面をつけたお客様のセリフにそのまま反応しがちです。 営業がまずやるべきなのは、「『購買者の仮面』を外すこと」です。これが、お客様と関係構築するうえでの欠かせない一歩であり、マネジャーが教えるべき「武器」なのです。
高橋 浩一 :TORiX株式会社代表取締役