乳首を《ピンク色》にして客と浮気...《堅気》の夫と《アウトロー》な妻、相容れない二人の結婚生活に待ち受けていた結末とは?
夫との決定的な違い
若いころは職業軍人を夢見、戦後は公務員としてまじめに働いてきた松本にとって、ヤクザとのやりとりは大きなストレスだった。夫婦に隙間風が吹く。 金銭感覚の違いも溝を広げた。節約家の夫は、野菜を買うときなど10円でも安いスーパーに行くようアドバイスした。米を買うときも、安い店を探し、「和ちゃん、お米の安い店を見つけたわ」とうれしそうに話した。 一方、一条は素朴を好みながらも、倹約家ではなかった。かつてスナックなど2店を開いていたときには、酔うと客のタクシー代まで払い、月に約1000万円の売り上げがあっても、パーッと使ってしまっている。それほど性格、金銭感覚の違う2人である。あれほど愛し合っていた関係でも、いつしか言い争いが絶えなくなった。 役所の退職金から開店資金を出していた夫は、店を閉めてカネを返せと言いはじめる。一条は自宅に帰らなくなった。当時、彼女は写真週刊誌にこう語っている。 「結婚して、しばらく家庭にいたんだけど、ホントに退屈しちゃってね。この店もダンナに金を出してもらったんだけど、今は大喧嘩して、家に帰れないのよ。まあ、仕事は大変だけど、この辺の人は人情が厚くて楽しいわよ」 松本は彼女の一番上の姉に手紙を書いた。「和子さんはいい人なんだけど」と一条の性格をほめながら、「私は和子さんに邪魔者扱いされ、店には来るなと言われる。おカネは全部とられた。どうにかしてほしい」と不満がつづられていた。受け取った姉は、「私に借金のことを言われても、しょうがない」と語っていた。
過去の男にすがる
一条はすっかり、松本に興味を失い、吉田源笠(ゲン)に電話している。ゲンはそれを覚えていた。 「何度か電話をしてきたんですわ。店を出すのはええんやけど、『なんでそんなところ(釜ケ崎)でやるんや』と怒ったこともありました」 すると一条は寂しそうに、こう言ったという。 「釜ケ崎にはええ人が多いよ」 「お前と別れてから、わしは成長している。お前は何してたんや。全然成長してないやないか」 「また、飲みに来てよ」 「ワシが釜ケ崎に行くと思うか。そんなところで店を開いて、一条の名が泣くで。そこで店やるなら池田和子で店を出せ。絶対に一条の名は使うな。お前が大きくした名やないか。その名を安くすんな」 ゲンが叱りつけても、一条は懲りもせずに連絡してきた。あるときゲンはその電話機をファクスに替えてしまった。夜中にファクスが「ピーッ」と鳴るのを聞くたび、彼は一条がまた寂しくなって電話してきたのだろうと思った。 一条は松本との生活に飽きていた。店に来る客と浮気をすることもあったらしい。知人の一人は、彼女がこのころ、乳首をピンク色にするための塗り薬を使っていたと証言する。肌の衰えを気にしていたのかもしれない。 『「夫の自死を知ったのは数か月後」...《平凡》に憧れたストリッパーが《平凡な生活》を手にして起きた《悲劇》の結末』へ続く
小倉 孝保(ノンフィクション作家)
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