職場の人間関係が面倒! そんな人にとって、一匹狼の「タクシードライバー」は理想的な仕事なのだろうか?
感謝が励み、タクシー運転手のやりがい
職場の人間関係について、どう感じているのだろうか。 「人間関係に関しては他の業種に比べて、関わりは少ないと思います。仲のよいドライバーさんだと遊びに行くこともありますが、あまり気の合わないドライバーさんだとあいさつ以外話すことはあまりありません。会社の事務所の人たちとも仕事中には話すこともないので、気が楽です」 一般企業などでは、仕事中同じ空間にいることも多く上司・部下などの上下関係が厳しい場合もある。タクシー業界では業務が始まってしまえば、乗客がいるとき以外は自分のみ。基本的には、「対お客さま」となるため、仕事上干渉されることも少ない。 また転職組も多く、年齢も20~70代と幅広い。さまざまな経歴のドライバーがおり、同僚ともフラットな関係でいられ、しがらみがないということなのだろうか。ほかに、タクシードライバーになってよかったと思うエピソードも聞いてみた。 「やはりお客さまから感謝されたときには、タクシーをやっていてよかったと思います。自分の場合、接客を褒められることもうれしいのですが、クルマや運転を褒められたときは特にうれしかったですね」 とのことだ。
評価が収入に直結する業界
最後に、どのような人たちがタクシードライバーに向いていると思っているのかを尋ねると、 「体調などを見つつ、仕事に対するメリハリができる方が向いているのではないかと思います。仕事をガツガツやって体を壊したり、違反や事故を起こしたりしては、せっかく稼いでも意味がなくなりますからね。やるときはしっかりやって、ゆっくりやるときも大事です。もちろんクルマの運転には気を抜いてはいけませんが。自分の体と相談しながら長く続けることが大事だと思います」 職場の人間関係に嫌気が差している人はもちろん、仕事でメリハリをつけたい人も、タクシードライバーという職業に向いているのかもしれない。 また、タクシー運転手の評価(給料)は、実績(売り上げ)によって大きく左右される。そのため、ある意味ではわかりやすいし、自分の努力がそのまま収入につながるのも魅力のひとつだと感じた。 柔軟な働き方ができる職業として、タクシードライバーは現代の多様なライフスタイルにマッチしている。自己管理と自立が求められ、人間関係に煩わされない環境は多くの人にとって魅力的であり、“一匹狼”的でもある。 技術進歩による変化はあるものの、努力がそのまま報酬につながる透明性の高い報酬体系は、今後もタクシードライバーという職業を選択する理由となるだろう。多様な働き方を求める人たちにとって、今後も魅力的な職業であり続けるだろう。 非・業界ライターである筆者は、この記事を読んだタクシードライバーの皆さんがこの職業の魅力についてどう考えているのか、聞いてみたいと感じた。
小島聖夏(フリーライター)