“Kalafina復活”の衝撃 『空の境界』『まどマギ』などに欠かせなかった極上の音楽
Kalafinaが復活する。この衝撃的なニュースにファンが沸き立っている。 『劇場版 空の境界』シリーズに始まり『魔法少女まどか☆マギカ』『Fate/Zero』といった人気のアニメ作品で極上の歌声を響かせ、作品世界に深みを与えてくれたボーカルユニットにまた会えると喜んでいる。プロデューサーとしてKalafinaのプロジェクトを立ち上げ支えた梶浦由記が関与していないことを不安に思う向きもあるが、新しい道を歩み始めてこれまでとは違ったKalafinaを聞かせてくれるといった期待もあって、2025年1月15日という復活ライブの舞台に世界の視線が集まっている。 【写真】公開待機中の劇場版『まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』 神秘的なユニットだった。奈須きのこによる小説『空の境界』を全7章のアニメーション映画にして描ききるという、前代未聞のプロジェクトに音楽で参加した梶浦由記が、主題歌を担当するボーカルユニットとしてKalafinaは送り出された。その最初の作品となる『劇場版「空の境界」第一章 俯瞰風景』のエンディングテーマとして流れた「oblivious」は、女性の澄み切った歌声や地に響くような歌声が入り混じったコーラスワークが冴えに冴え、神秘的な要素をはらんだ物語の世界をしっかりと聞かせてくれた。 後に参加している“歌姫”が、梶浦のソロプロジェクト「FictionJunction」に参加していたKEIKOとWakanaだと分かるが、ユニットとして固まった訳ではなかった。『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』のエンディングテーマとして使われた「sprinter」から参加したHikaruにMayaも入れた4人のユニットが、『空の境界』というプロジェクトに併走するようにして活動し、それぞれに特徴的な歌声によって作品世界を彩った。 「劇場版『空の境界』」プロジェクトの終了とともにKalafinaも終わる可能性があったが、「やっていくうちに、もっとこのメンバーで音楽を届けていきたいと思うようになったんです」と2010年当時のインタビューでWakanaが語っていたように(※)、継続したい思いが高まってWakana、KEIKO、Hikaruの3人をメンバーとした「Kalafina」は、『劇場版「空の境界」』以降も活動を続けることになった。 ここで心配されたのが、あまりにKalafinaが『劇場版「空の境界」』という作品と一体化していたことだ。「第三章 伽藍の洞」のエンディングテーマ「ARIA」にしても、「第六章 忘却録音」のエンディングテーマ「fairytale」にしても、『空の境界』というシリーズが持つ神秘的だったりサスペンスフルだったりする内容を見事に現していた。ufotableによる圧巻の映像と一体化して、作品世界を形作っていた。そんなKalafinaが、『劇場版「空の境界」』を離れてどのような活動を繰り広げていくかを誰もが興味津々で見守っていた。 杞憂だった。テレビ東京系で放送されたテレビシリーズ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』でKalafinaが歌った「光の旋律」は、リズミカルでどこか欧州の民謡的な響きをもった楽曲を、3人が3様の声で歌いこなして、新しいKalafina像を見せてくれた。『アイの歌声を聴かせて』の吉浦康裕監督による『劇場版 イヴの時間』に寄せた「I have a dream」は、ゆったりとしたペースで歌い上げる楽曲から幸せな気持ちが漂って、長く愛される1曲となった。 そして「Magia」。テレビシリーズ『魔法少女まどか☆マギカ』のエンディングテーマとして登場した当初、おどろおどろしさを持った楽曲は、かわいらしい魔法少女たちが平和のために戦う楽しげなストーリーにそぐわないと思われた。オープニングテーマがClarisの「コネクト」というポップな楽曲だっただけに違和感も相当だった。結果として『魔法少女まどか☆マギカ』のエンディングテーマが「Magia」以外にありえない展開になったことは誰もがご存じの通り。そこで繰り出されたコーラスワークは、Wakana、KEIKO、Hikaruという3人だからこそ描ける物語性を感じさせた。