「大学生活頑張らなかった」→就活で「高校時代の話」をしてもいい?企業が真に求める“ガクチカ”とは
「学生生活で最も力を入れて取り組んだ経験を教えてください」 就職活動のエントリーシートや面接で最も多く聞かれる質問の1つである、通称「ガクチカ」。 この質問に対してどんな経験を話すかで自分の評価が決まってしまうと思うと、就活生の立場としては少しでも他の学生と差別化できる体験を伝えたいはずだ。しかし一般的な大学生活を過ごしてきた学生にとって、他の学生と差別化できる体験などしている学生の方が少ないだろう。 ただのサークルやアルバイトの経験では埋もれてしまいそうで不安になる。 そこで高校時代の部活動や生徒会活動などの経験をガクチカとして使おうとする学生も出てくるのだが、これは果たして有効なのだろうか? 少しでも自分をアピールしたい学生心理としては分からなくもないが、企業側の「ガクチカを通じて知りたいこと」に応えていなければ逆効果であろう。 一方で、企業側の意図を理解した上での「使い方」次第では、大卒の就職活動であっても高校時代のエピソードは自分をアピールする武器となる場合がある。
◆「ガクチカ」を通じて企業は何を知ろうとしているのか?
企業の採用活動の目的は「自社で活躍できる人材を採用すること」である。そのためにエントリーシートや面接でさまざまな質問を投げかけて情報を得ることで、自社で活躍できる人材かどうかを判断する。 その点「学生時代に最も力を入れた経験」は、その学生自身が培った「能力」や「価値観」を知る上で大変効果的な設問である。例えばサークルなどで多くの学生と関わる経験をした学生であれば「対人力」があると判断できるし、研究で1つのテーマを突き詰めた経験があれば「探究心が強い」という評価になる。 どんな能力や価値観を持った人材を求めているかにもよるので、評価軸は企業によって異なる。 学生はどうしても「他の学生とは異なる“すごい経験”を話さなければ」と思ってしまうが、企業側は全くそんなことは期待していない。大学の授業や研究、サークルやアルバイトなど一般的な経験でも構わない。その代わり、その経験を通じてその学生がどんな学生なのかを知ろうとしているので「自分らしい経験」を話してほしいと願っている。 そしてできるだけ「現時点での学生」を評価したいと思っている。のんびりと大学生活を過ごしてきた学生としては、現時点の自分よりも、部活動などを一生懸命やってきた高校時代の自分をアピールしたくなるかもしれないが、企業としてはのんびり大学生活を過ごしてきたその時点での学生について知りたいのである。 企業側の意図を考慮すると、大卒の就活での「ガクチカ」はできるだけ「大学生活の経験」を中心に伝えるべきであろう。逆に企業側が知りたいことを理解することで、そのガクチカの経験自体は他の学生と差別化にならなくても、「伝え方」次第で十分評価に値するものになる可能性もある。