モルガンSが人気のマクロ戦略に警鐘、米選挙巡る不透明感増大で
(ブルームバーグ): 米選挙を巡る不透明感の高まりを受け、投資家がエクスポージャー削減を急ぎ、今年最も人気のあったマクロ取引の一部が危うくなる恐れがあると、モルガン・スタンレーは指摘した。
ストラテジストのマシュー・ホーンバック、ジェームズ・ロード両氏のリポートによると、投資家が11月の選挙の前に出口に向かう状況下で、利回りの低い通貨に対するドルのロングや期間長めの米国債のアンダーウエートなど人気のあった多くの取引戦略は圧迫される可能性がある。
モルガン・スタンレーのチームは5月31日付の年央見通しで、選挙に向かう期間に「大方の投資家はポートフォリオのリスクエクスポージャー削減を選ぶだろう」と予想し、「先行する投資家が人気の高いリスクエクスポージャーを減らすにつれ、マクロ市場はより幅広い投資家の参加を促す形で動くかもしれない」との見方を示した。
トレーダーは政治の「現状維持」を想定する余裕はなく、財政政策が経済や金融政策に与える影響がいかに大きいかは、新型コロナウイルス禍後の状況を見れば分かるという。このため政策関連リスクのヘッジとして、エクスポージャーをベンチマークに近づけたり、投資のデュレーションを原債務に再び近づけたりする見通しだ。
モルガン・スタンレーによると、選挙が近づくのに伴い以下のマクロ市場ポジションはリスクが高そうだ。
ホーンバック、ロード両氏はまた、米経済成長率が引き続き他国を上回る中で政策金利が「永遠に高め」で維持されるという暗黙の見方がこうしたポジションに織り込まれていると主張した上で、「現在から米選挙までの間のある時点か選挙後に、この想定は賢明でないことが判明するかもしれない」とした。
モルガン・スタンレーのエコノミストは米金融当局が9月に利下げを開始し、10年債利回りが年末に4.10%と、現在の水準から約30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下すると予想。2年近く前に始まった2年債と10年債の逆イールドは2025年上期(1-6月)に解消されるとみている。